内容説明
三島由紀夫―その秘められた、不可能な恋。大胆な仮説、緻密な推論で解き明かす、『豊饒の海』最大の謎。
目次
1 叶わぬ願いごと
2 ニューヨークでの孤独
3 遍歴の日々
4 正田美智子との見合い―昭和三十三年二月
5 慌ただしい結婚―昭和三十三年六月一日
6 皇太子妃 内定から誕生へ―昭和三十三年十一月二十七日 あと十二年
7 黙殺された『鏡子の家』―昭和三十四年九月 あと十一年二カ月
8 『春の雪』起稿―昭和四十年六月 あと五年五カ月
9 『英霊の聲』と『奔馬』―昭和四十四年二月 あと一年九カ月
10 『憂国』から『暁の寺』挫折まで―昭和四十五年二月 あと九カ月
11 『天人五衰』脱稿 決行そして自死―昭和四十五年十一月二十五日
著者等紹介
高橋英郎[タカハシヒデオ]
1931年、東京都に生まれる。東京大学文学部仏文科卒業。フランス文学者。明治学院大学文学部教授を経て、83年より「モーツァルト劇場」を主宰、日本語によるオペラ公演の制作・訳詞・総監督を務める。75年、プーランク=アポリネールの『ティレジァスの乳房』の訳詞上演でジロー・オペラ賞を受賞。90年、トマの『ハムレット』でクリエーション大賞を受賞。モーツァルト5大オペラをはじめ、ドビュッシー、プーランク、オッフェンバックなど、これまでの舞台公演に対して2006年度エクソンモービル音楽賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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冬薔薇
2
「ラディゲのように20才で夭折こそ叶わぬ夢」、見合いの失敗と兵役検査の誤診による不合格が、やはりノーベル賞も、人生設計を決めたものか。「春の雪」はそのようにも読めるが。最終巻のラストは衝撃だったのを覚えている。やはりその後も忘れられない作家となった。2023/12/19
tenorsox
0
三島由紀夫の半生を、特にその実体験や価値観が織り込まれた作品や登場人物と絡めて追ったもの。著者は自決の翌年にも独自の三島論を発表しており、本書はその焼き直しか。 特に正田美智子(現妃殿下!)にかかる記述は興味深く、三島とお見合いしてたとか彼はゾッコンだったが彼女はそれほどでもだったとか既にお妃選びの最中だったとかいう事実(本当か?)に加え、この作品のこの女性にかかるこの部分は彼女をイメージして書かれてる、みたいな分析が原作を読んでなくても楽しい。というか原作を読みたいという気は全く起きないw2014/11/11