内容説明
語りの名手・素顔の渡辺京二が次の世代に伝えておきたいこと。自分が自分の主人公として独立する、この世(現実)ともうひとつのこの世(アナザワールド)のはざまで生きる、とはどういうことか。
目次
1(石牟礼道子の草文;三回忌に;幻のえにし)
2(熊本の文芸を辿る;二元論のはざまで生きる;ファンタジーを語る)
3(激励;『アルテリ』創刊始末;渡辺京二 二万字インタビュー)
著者等紹介
渡辺京二[ワタナベキョウジ]
1930年、京都市生まれ。日本近代史家。主な著書『北一輝』(毎日出版文化賞、朝日新聞社)、『逝きし世の面影』(和辻哲郎文化賞、平凡社)、『黒船前夜―ロシア・アイヌ・日本の三国志』(大佛次郎賞、洋泉社)、『バテレンの世紀』(読売文学賞、新潮社)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゴロチビ
3
一昨年に逝ったセンセイの、亡くなるまでの講演やら対談やらインタヴューやらを纏めたもの。石牟礼さんの本を読んでないので、肝心の部分がぼんやりしている悔しさはあるが、ファンタジー観や自分語りから見えてくるセンセイのお人柄が、やっぱり好きだなぁと思う。自分は親分肌ではない、にそうでしょうねーと思ったり、この世代の人だから女性観とかは仕方ないかなぁと思ったり。質素な暮らしをしながらも例えば肌着は上質なリネンを使いたいと思う生き方、凄く分かる気がします。他人の評価に左右されない真の心の豊かさは必要だと思うからです。2024/01/29
Terry K
1
名著「逝きし世の面影」の著者のインタビュー・講演録。全編のかなりを石牟礼道子の思い出話に費しており(繰り返しが多いのはご愛嬌)、石牟礼作品を読まないと、という気持ちにさせられる。自身の政治観にも触れられており、世の専門家といわれる人たちよりも、著者のような教養人がもっと前面に出てくるべきではないか、と感じる鋭い指摘が小気味よい。2020/12/27