内容説明
ぼくは40歳を過ぎてからこの小さな街に小さな本屋を作った。誰に笑われてもかまわなかった。それはぼくの人生で、生きることのすべてだったのだから。これはぼくの、ぼくだけにしか体験し得なかった物語だ。そしてその物語はいまもなお続いている。就職するだけが人生ではない。盛岡BOOK NERD店主、現在進行形の物語。書き下ろし「ぼくの50冊」も所収。
目次
人間らしく生きるということは
ただなんとなく生きてきた
習作のような日々
チーズとたましい
ぼくの読書遍歴
小さな街で本屋をはじめた
ニューヨーク・ニューヨーク
ぼくにはこれしかなかった
いびつで、不ぞろいで、間に合わせのような店
生きのびる方法をさがして
いつに間仁香本を作っていた
ラプソディー・イン・ブルー
テンダーロインと実店舗
ベイエリア、夏、2019
自由に生きるってどんな気分だろう
子どもと疫病
そしてまた夏は過ぎてゆく。ぼくの50冊
著者等紹介
早坂大輔[ハヤサカダイスケ]
1975年生まれ。サラリーマンを経て、2017年に新刊・古書店「BOOKNERD」を開業。書店経営の傍ら、出版も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tenori
47
盛岡に住み始め2年弱になる。ほど良い規模感、暮らしのそばに豊かな自然が感じられる、そして文化的な香りのする街で気にいっている。そんな盛岡に著者が営む本のセレクトショップ『BOOKNERD』はある。古い街並みからちょっと入った路地にある心地よい空間。著者がアメリカで買い付たビジュアルブックや写真集、絵本や国内外の文学が並ぶ。著者が小さな書店を開くまでの出来事をもとに、生き方や仕事に対する考え方を記した本。本好きな方なら何かしら惹かれるものがあるはず。巻末の著者を形づくった50冊のブックリストも興味深い。2021/06/10
@nk
36
どっしりとした、まるで低空飛行を思わす筆致で描かれるのは、盛岡市の書店「BOOK NERD」に纏わる話であり、著者はその店主。自分が本当にやりたいこと、それが世界に還元される仕組み、それを仕事にできるだけの色んな意味での蓄積、これらが見出されて組み合わさるパズルを観たような感覚だった。著者は私と世代が近く、恐らく息子は同い年と思われ、勝手に親近感を持ちつつ読了。著者が店主になり得たのは、本に対する圧倒的な情熱があったからこそ。/将来の生き方を考える上で、今の私にとれば組織への向き合い方など、⇒2021/04/18
ばんだねいっぺい
22
地元民として気になっていた店主のはなし。開店から知っていたが、そんなことがあったのかといろいろと驚くことばっかり。2023/10/14
みーなんきー
20
装丁そのものの中身で、素朴で裏のないある男性が、どう思って仕事をしてきたか、その結果どうなったか、その頃支えてくれた妻に対して、どんなふうに心変わりしたか、離婚して、後悔して、毎日酒飲みの生活に陥ってしまった自分を、どんな風に蔑んで見てきたか そんな見知らぬ人の感情に、一緒になって一喜一憂して、久しぶりに気の合う人に出会えた気持ちがした2021/07/18
*
17
【未来とは、いまここにあることをつづける、ということだ】「これしかない」と言い切ることは怖い。視野狭窄に思われそうで、勇気が要る。まだ読んでないけど、ドン・キホーテみたいだ。でも自分を満たし、精神性を残すチャンスがあるのなら、掴みたい。"わたしを空腹にしない"人生の"ほうがいい"と、確かに本が教えてくれるから▼雑誌が消えた時に戦争は始まる…胸に刻んでおきたい言葉だ。逆に「ニセモノの雑誌を使い、戦争の始まりを隠す」人が、現れるかもしれないが。2021/06/08