内容説明
今日、65歳以上の高齢者は3600万人を超え、日本の人口の3割弱を占めている。平均寿命は男性82歳、女性89歳で、人生100年時代を迎えたと言える。このような現実を踏まえて、30年以上に及ぶ老後をどう過ごせばよいのか。私たちや社会が向きあうべき明確な考え方が問われている。福祉国家は危機に瀕し、社会保障給付費の赤字は累積し、経済の長期低迷と巨額な財政赤字は次世代に先送りされている。さらに貧富の格差の拡大、老後破産が広がる中、環境と経済の両立、コミュニティの再建、多様性の受容とデジタル化への対応といった新たな問題群が迫る。超高齢社会では現役世代に頼って脇役に甘んじたり介護保険のお客様とならずに、高齢者自身が主人公となり、互いに支えあう新しいコミュニティを作らねばならない。著者は人生の後半50年を四つに区分し、50歳から60歳は老いに備える準備期、60歳から80歳は多方面にわたり元気に展開する活動期、80歳から90歳は介護を受ける受容期、そして90歳以降は死に備える時節として、老いの思想の具体的な構想を展開し、老成学という新たな学問を提唱する。先行世代が残してくれた社会的共有財産(レスブプリカ)と高齢者が助け合う有償ボランティアを全国的に展開することにより、目標達成感や安心と充実、そして自己存在感など、幸福感を高めて、豊かな高齢社会の構築に挑む。
目次
第1章 人生100年時代の老成学
第2章 老人介護をめぐる常識
第3章 老いた自己のイメージ
第4章 エイジズムの乗り越え方
第5章 人生最期の生き様
第6章 老いの生活の豊かさ
第7章 21世紀老人の生き方
著者等紹介
森下直貴[モリシタナオキ]
1953年生まれ。東京大学文学部倫理学科卒、同大学院人文科学研究科(博士課程)単位取得退学。現在、浜松医科大学名誉教授、京都府立医科大学客員教授、一般社団法人老成学研究所代表理事・所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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