内容説明
ますます多元的になる時代、東アジアにおいて「経済大国ニッポン」とは違った、まったく新しい「日本意識」を形成することができるのか。日中韓の研究者による日本文化研究を収録。宮沢賢治の文学やアニメーション、京都学派の哲学・思想など、多角的に東アジアにおける日本意識を探求する。東日本大震災を経て生まれ変わろうとする日本、そして国境を越えた努力が、東アジア原風景の共有へと結実してゆく。
目次
序論(東アジア、中国における日本研究の現在―二〇一一年度の研究活動を中心に)
第1部 中国における日本研究の現在―『日本現代化歴程研究叢書』について(二〇一〇年、中国・世界知識出版社刊行)(中国日本史学会の成立と発展;近現代日本経済の発展段階的考察―楊棟梁著『近現代日本経済史』の査読を通じて ほか)
第2部 東アジアの中の日本文化―互いの「参照枠」として(アニメーション映画「グスコーブドリの伝記」を制作して;なぜ、「雨ニモマケズ」が読まれているのか―再生への日本文化の循環力 ほか)
第3部 日中韓における「共通性」への探求―「公共」という「公用語」に開かれた通路(『朝鮮王朝実録』に見える「公共」の用例の検討;儒学の民衆化と公共幸福―「士」、知識人、青年と民間社会の関係 ほか)
第4部 日中韓文化関係の原点(東アジアの宗教と社会;一九世紀東アジア各国の対外意識の比較 ほか)
終論(日中韓の歴史的文化的共有性―東アジア文化圏の接点)
著者等紹介
王敏[ワンミン]
1954年中国・河北省承徳市生まれ。大連外国語大学日本語学部卒業、四川外国語学院大学院修了。宮沢賢治研究から日本研究へ、日中の比較文化研究から東アジアにおける文化関係の研究に進む。人文科学博士(お茶の水女子大学)。法政大学教授、上海同済大学客員教授。早稲田大学や関西大学などの客員教授を歴任。「文化外交を推進する総理懇談会」や「国際文化交流推進会議有識者会合」など委員も経験。現在、日本ペンクラブ国際委員、かめのり財団理事、朝日新聞アジアフェロー世話人など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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