内容説明
本書では、大正・昭和初期の大阪の繁華街で配布されたチラシのなかから優れたデザインのものを厳選し、収載しています。デパートの案内図、小売店の商品案内、劇場・レビュー案内をはじめとする多様な広告チラシは、活気ある時代の賑やかな市井の人々の暮らしぶりをのぞき見る資料として大いに楽しんでいただけることでしょう。また、今見てもなお色褪せない高いデザイン性や大胆な構図は、グラフィックやフォントデザインの宝庫としても大いに活用していただけます。
目次
第1章 買う―商店・百貨店・デパート
第2章 食べる―食料品店・飲食店・カフェー
第3章 愉しむ―観光・観劇・レビュー
第4章 受ける―サービス・銀行・理容
第5章 投じる―選挙案内・ビラ
第6章 旅する―郊外への小旅行
著者等紹介
橋爪節也[ハシズメセツヤ]
1958年、大阪市生まれ。大阪大学総合学術博物館教授(前館長)、大学院文学研究科兼任。東京藝術大学美術学部大学院修士課程。大阪市教育委員会事務局文化財保護課、大阪市立近代美術館(仮称)建設準備室主任学芸員を経て現職。専門は日本近世・近代美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
70
タイトルを見たとき、購入しようと思いましたが、図書館に所蔵があったので、借りてきました。私は、東京で育ちましたので、大阪を知りませんが、なんとも懐かしい想いに浸りました。デザインや、キャッチなど、とても楽しい。かつては、近所の映画館のパンフレットに、このような広告が掲載されていましたし、いまでも新宿末廣亭のパンフレットにもこのようなノスタルジックな広告があります。芸術性はどうなのかわかりませんが、一つの風俗史だと想います。できれば大判で発行してもらいたかったけど、手元に一冊置いておきたいと想います。2020/10/05
keroppi
68
図書館新刊コーナーで見つけて。図書館新刊コーナーを見るのも久しぶり。大正14年、大阪市は、東京市を抜いて日本第1位になり「大大阪」と呼ばれたそうだ。その頃の大阪で配られたチラシの数々。全部カラーで掲載されている。チラシから見えてくる活気ある大阪。今ではあり得ない選挙のチラシまである。デザイン的にも魅力的なものが多い。2020/07/11
Twakiz
23
昭和は遠くになりにけり.自分も昭和後期の生まれのため昭和初期・戦後を生きた人間ではないのですが,昔の雰囲気満載の,古き良き?携帯電話やSNSがなかった時代の,なんだか懐かしい1冊です.昔はよかった‥ばかりではないですが,何だか追い詰められている今,携帯電話のなかった時代の友人とのやり取りとか,思い出してしまう.今の若者は「ビックリマンチョコ」も「テレホンカード」も知らないんだよなあ.彼女の家に電話をかけて親御さんが出た時の何とも言えない一瞬とか.昭和は,遠くに,なりにけり.2020/12/30
さっちも
22
本日ヨリ 黒人のジャズと書いて黒人に二グロとルビがふってある。赤と黒と白抜きで描かれた黒人は目がギョロ目で、耳が大きく、デフォルメされている。爪痕残しまくる戦前の広告だ。これは道頓堀赤玉食堂というサントリーのポートワインを中心にしたカフェバーの広告。今であったら炎上、苦情、なりやまない強烈な表現。そして、誇張、大げさ、差別表現の絵とコピーの数々。見るものも載せるものもプロレスを楽しむかの暗黙の呼吸があり成熟している。広告の効果としては今の方が優れているかもしれないが、表現の面白さはダンゼンこちらだ。 2023/06/20
花林糖
20
(図書館本)大正昭和初期の大阪の繁華街で配布されたチラシの中から、デザインの優れたものが選ばれ掲載されている。地域は心斎橋・道頓堀・千日前界隈が多い。デザインに優れたのが選ばれているので凝ったものが多く見ていて楽しい一冊。当時は右から左に読むので、ついつい現在の癖で逆に読んでしまいました。チラシの文字が手書きなので味わい抜群。だっし綿はいつから言わなくなったのか?懐かしい。川崎貯蓄銀行大阪支店のチラシ「支出欄を減らし貯金欄を増やしませう...」←確かに!2021/05/18