内容説明
人文主義の根幹にある近代・西洋・白人・男性的な人間像に異議を突きつけ、新しい人文学(ヒューマニティーズ)のかたちを描き出す。自己・種・死・理論の先にある新たな生のための、ポストヒューマン理論入門の決定版、新時代の人間論。
目次
第1章 ポスト人文主義―自己を越える生(反ヒューマニズム;人間の死、女性の脱構築 ほか)
第2章 ポスト人間中心主義―種を越える生(地球警報;動物への生成変化としてのポストヒューマン ほか)
第3章 非人間的なもの―死を越える生(いくつかの死にかた;生政治を超えて ほか)
第4章 ポストヒューマン人文学―理論を越える生(不協和の制度的パターン;二一世紀の人文学 ほか)
結論(ポストヒューマンな主体性;ポストヒューマンの倫理 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おっとー
7
我々はノマド的、唯物的であり、生成変化を続けるポストヒューマン的主体を手に入れなければならない。AI、ドローン、遺伝子操作、環境問題といった現代の諸課題への人文学的応答であり、ポストモダンを踏まえた「人間」の脱構築としても捉えられるが、むしろ近代的に構築された「人間」概念への反抗としての面が強い。もはや「人間」なるものを定義し考察する時代は終わらせなければならない。今後の人文学に必要なのはポストヒューマン的思考、すなわち「人間」という枠組みを捨て、その外部について、あるいは普遍性について考えることである。2019/08/25
メルキド出版
6
「人文学の「適切」な主題は「人間」ではない」2020/02/17
蓼 tade.
4
(はじめに書いておくと、新味ある語彙、ジャーゴン、などを拾うには善いと感じましたが、名著感はそこまで充ちてこないかなと思われます。) トピックとして例出される、サイファイなみの現行形兵器、などに驚愕する感覚はあり、その驚きについては価値があるので、読書体験としてはまずまずでした。文章的な言い回しの格好良さは評価にあたいすると思います。 トーテムとしてのオンコマウス、という捉え方など。 ところどころエッジの立つ、煌めきの部分はある。2023/05/09
ポカホンタス
3
アッサンブラージュ、という概念に興味を持ったので、斜め読み的に読んでみた。この概念の概要はなんとなくわかった気がした。ポストヒューマンという言葉も時々耳にしていたのでこの機会にどのようなものか、ある程度知れた。一つの切り口としては面白い気がするが、ポストモダンが、結局はモダンの新しいスタイルであるように見えるのと同様に、ポストヒューマンも、ヒューマニズムも新しい姿のように思える。2022/07/24
Mealla0v0
3
ポストヒューマニティ的な主体はなにか? 本書の問いは、フーコーの一連の仕事を継承する形で発せられ、かつて人文主義(ヒューマニズム)という知とそれと結びついた権力によって産出されていた「人間」という主体が、現代の技術社会において解体されるなかで、どのように変容しているのかを主題とする。現代の生政治は、「生そのもの」に介入する、というより生命全般を標的としたものである。この状況は、むしろあらゆる生命が技術とのハイブリッドとなることで、「ゾーエー=ポストヒューマン」となるゾーエー平等主義を実現するというが……2019/08/02
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