ヒップホップはアメリカを変えたか？―もうひとつのカルチュラル・スタディーズ

ワトキンス，Ｓ．クレイグ【著】〈Ｗａｔｋｉｎｓ，Ｓ．Ｃｒａｉｇ〉/菊池 淳子【訳】

フィルムアート社（2008/12発売）

• サイズ B6判／ページ数 270p／高さ 19cm
• 商品コード 9784845908240
• NDC分類 764.7
• Cコード C0073

内容説明

ヒップホップは、保守的な文化や既存の体制に抵抗するムーブメントとして、その地位や評判を確立してきた。しかしヒップホップが巨大化するにつれて、闘うべき相手は他でもない“ヒップホップ自身”に変わっていった。爆発的な人気と経済的発展の裏で、ヒップホップの本当の精神、本当の目的とは何か、という問題をめぐり、内部で激しい論争が起こったからである…。ヒップホップの力とその未来を探る。

目次

なぜヒップホップは重要なのか？
ヒップホップが踏み出した第一歩
第１部　ポップカルチャーにおけるヒップホップの闘い（９０年代ポップスをまるごと飲み込むヒップホップ；１９９８年はヒップホップ飛躍の年；白人がヒップホップを支配する？；インターネット時代のヒップホップ）
第２部　政治運動におけるヒップホップの闘い（大衆を動かせ；若者は声を上げる；「私たちの未来は、いま、ここにある！」；「ヒップホップは私たちを愛してるの？」；アカデミズムの中のヒップホップ）
ヒップホップを超えろ！

著者等紹介

ワトキンス，Ｓ．クレイグ［ワトキンス，Ｓ．クレイグ］［Ｗａｔｋｉｎｓ，Ｓ．Ｃｒａｉｇ］
テキサス大学ラジオ／ＴＶ／フィルム学部准教授。専門は社会学、アフリカン・アメリカン文化研究。研究及び調査対象は、人種問題、メディア・スタディ、ヒップホップと多岐に渡る。近年ではオンライン・ゲームやソーシャルメディアによるコミュニケーション等の若者のデジタル・メディア・カルチャーにも焦点をあてている

菊池淳子［キクチジュンコ］
翻訳者。早稲田大学教育学部国語国文科卒業、同大学院教育学研究科英語教育専攻修士課程修了。カナダ・トロント大学大学院演劇科卒業（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[1959のコールマン]

☆4。ふむ。内容としては悪くは無い。原題の通り（ヒップホップ問題）ヒップホップそのものの歴史をそのまま通して書くのでは無く、ヒップホップがアメリカ社会に与えた影響を書いている。2005年の本で訳が2008年なので当然ながらネット関係の話題はインターネットまで。SNSに関する記載はなし。オバマの話題もなし。邦題のとおり、アメリカ社会中心に話が進むので、途中、話を整理していかないとややこしくなる所もあり。ただ、最後が「俺たちの闘いはこれからだ～～」式の終わり方になっているのは、著者の期待も込めてなのだろうが。

2019/09/26

[ソノダケン]

最初にハードコア・ラップをラジオで流したのは、黒人でなく白人のディレクターだった。黒人の方がギャングスタの悪いイメージを恐れ、保守的だった。そうゆう複雑なモザイク社会を泳ぎきったのがエミネムで、過激な言動の一方、決して「ニガー」なんて言葉を口にしない賢明さがあった。たかが音楽で変わるはずのない社会で、ドタバタと踊る人間たち。

2016/09/30

[Greg]

ヒップホップの歴史にとどまらず、アメリカにおけるヒップホップの社会的役割について考察している。ヒップホップを音楽ジャンルとしてではなく社会変動のドライバーたりうる文化的要素として捉えている点が非常に面白い。

2019/11/23

[福島雄一]

前半はヒップホップの歴史を創生からさらっとまとめ、後半はかつての公民権運動などをなぞらえつつ、オーバーグラウンドの大物プロデューサーラッセルシモンズの政治への傾倒やその運動の持つ構造的な問題点を指摘、対象的な事象として草の根運動的なカリフォルニアでのヒップホップコミュニティの政治活動を社会学的な視点で上手くまとめてある。ポップカルチャー消費のメインストリームがグランジロック→ヒップホップに移行したことの重要性がよく理解できる非常に面白い本

2015/05/16

[Yui Nakamura]

NetflixのGET DOWMをより楽しむために、というブログを読んで、絶版のこの本をアマゾンで。高かったけど、面白かった！こういう思想とかバックグラウンドを勉強して、そろそろ旧譜を掘りに行こうか。

2016/11/13