出版社内容情報
全世界の美術愛好家が注目するベトナム陶磁の名品が初めて世に出ます。40年の経験を誇る現役古美術商の著者がこの10年間に全精力を傾けて蒐集した五彩(色絵)と青花(染付)の極上品です。著者の豊富な経験に基づく鑑定眼と膨大な資料による研究、科学分析による年代測定から、これらの作品がベトナム陶磁史の空白を埋める13~14世紀の陳朝のものだということがわかりました。自らの「心の眼」による確信をもとに、ベトナム陶磁史の定説に挑戦する過程は緻密かつスリリングな美術史研究として読むことができます。もちろん500枚のカラー写真を見ていくだけで、中国、タイ、クメールなどの名品とともに、ベトナム陶磁の真髄を味わうことができるはずです。
はじめに――比類なき壮麗なる陶磁の出現
第1章 安南の由来
第2章
内容説明
本稿で初公開となる五彩や青花は、陳朝後期の皇帝窯とも言える皇帝直轄の窯で焼造された官窯製品と推察できる格調高き遺品である。しかも、過去にその例を全く見ていないことからも、皇帝一族の超特別な独占物であり秘陶であったと想像される。したがって、本書ではこれらを正しく皇帝の陶磁器とみなし、ベトナム陶磁史から抜け落ちていた知られざる栄光の一章を明らかにするとともに、ベトナム国家の主体性と伝統美の神髄を浮き彫りにしつつ、定説となっている往来の編年を遙かに超えた新見解に基づき、歴史を踏まえた新たな陶磁史を再構築している。そして、現世に忽然と甦ったベトナムの至宝をここに『ベトナムの皇帝陶磁』と命名し出版する。
目次
安南の由来
東南アジアの古美術
咲き誇る紅色の大輪
無謀とも思える挑戦
海底から引き揚げられた交易陶磁器
花街城の太上皇
孔雀と牡丹
先駆けの様相が見られるベトナム五彩
宋赤絵と元五彩
未知なるベトナム五彩
陳朝の青花と南海交易
中国の双龍とベトナムの鳳凰
著者等紹介
関千里[セキチサト]
1964年美術業界に入る。71年SEKI GALLERYを名古屋に開業。名古屋市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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