出版社内容情報
バンコクを拠点にアジアを撮り続ける若手ナンバーワンのフォトジャーナリストが、カンボジアのエイズ病棟を記録したフォトドキュメンタリー。バッタンバン・リファラル病院。今日もエイズ患者が静かに息を引き取り、幼い子どもが残される。「死ぬ前に私の姿を撮ってほしい」という。そこでは死は日常でした。しかし彼らは誰もうらまず、ほほえさえ浮かべて死の病に立ち向かう。3年間にわたって彼らを撮りつづけた衝撃と感動の写真集です。
まえがき
エイズ「後天性免疫不全症候群」
1 バッタンバン州リファラル病院
2 モム
3 ソフィア
4 リム
5 イン
6 ラッタナー
7 サオ
8 サビンとリン
9 変わりゆく首都
10 売られる子供たち
11 リナ
12 ミセス・コンドーム
13 カンハ
14 チップ
15 ヒム
16 スセップ
17 セリ
18 ホーン
19 キーロック
20 ティー
あとがき
初めてティーと出会ったのは2001年3月だった。
バッタンバン州リファラル病院は市内の川沿いにある。フランス植民地時代に建てられた病院の天井はやけに高く、古くて巨大な扇風機が、頭上でゆっくりと回っていた。時折激しいスコールが降り、病室の床は雨漏りのため、いつも水浸しになっていた。
感染病棟には無造作にベッドが置かれ、その他の設備は何もなかった。15人ほどの患者たちがいたが、動くことのできる者は中庭に出ているので、病棟内は怖いほど静まり返っていた。時折赤ん坊の泣き声が聞こえた。体が弱って動けない寝たきりの人々が、痛みを我慢しながら、じっと窓の外の景色を眺めていた。
一番隅のベッドに、女性がひとりいて、干し終わった洗濯物を1枚ずつ丁寧にたたんでいた。ほほえみながら「私はティーよ」と言った。まるで枯れ木のように痩せ細った彼女は、とても29歳に見えない。ほとんどの患者がそうであるように、ティーもたった1人でエイズと闘っていた。
夫は昨年エイズで亡くなったという。 幼い子供が1人いて、今は祖父に預けているとも言った。
ティーは話をしながら、時々苦しそうに咳き込んだ。エイズは免疫機能を低下させる。感染病棟にいるエイ
一枚の写真から深い感動をもらえます。
目次
バッタンバン州リファラル病院
モム
ソフィア
リム
イン
ラッタナー
サオ
サビンとリン
変わりゆく首都
売られる子供たち〔ほか〕
著者等紹介
後藤勝[ゴトウマサル]
1966年生まれ。名古屋市出身。高校中退後アメリカに渡る。中南米を放浪後、1992年から南米コロンビアの人権擁護団体と活動する。バンコックを拠点にし、フォトジャーナリストとしてアジアの人権問題を追う。オンアジア、イメージス所属。受賞歴、2004年第5回上野彦馬賞(九州産業大学、毎日新聞社)。2004年“The River of Life”国際写真コンペティション(世界保健機関)。2002年“The Photo Fund 2002”International Fund for Documentary Photography Fifty Crows Foundation
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
たぬきりんご
ミナコ@灯れ松明の火