出版社内容情報
独立戦争下のジャカルタ、インドネシア共和国誕生の陣痛の苦しみを、あるゲリラの家庭の崩壊の中に凝縮して描く。プラムディヤ初期の代表作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みづはし
2
インドネシア独立戦争に参加した兵士とその家族のお話。ブル島四部作でもそうであったように、プラムディヤの著作では、民族としての自覚に葛藤する者が描かれている。インドネシア人全員が独立に向かって、一致団結したわけではない。中には給金をもらってオランダ軍に入り、義勇軍の弾圧を行ったインドネシア人もいる。時にはそれが肉親同士であることもあった。貧困と紛争に塗れた、湿った空間に読者を包み込むような筆力を感じる本。2016/10/18
HARU
0
1949年、オランダからの独立戦争下のジャカルタ。ゲリラ戦士の家族の悲惨な出来事を描いたもの。オランダ軍に与するインドネシア人も居たのが辛いところ。ムルデカのシーンは心が震える。当時のインドネシアの貧しさ、辛さを想像できる非常に良い作品。2019/01/20