内容説明
なぜこのような過密村落が生まれたのか?村と住まいの誕生のドラマを村落空間史の視角から読み解き、旧来の“被差別部落”観を覆す。
目次
第1章 古代信太山丘陵と聖神社後背
第2章 「どうけが原」「除地屋敷」「一村立」
第3章 「一村立」後の村勢拡大と「住宅問題」の発生
第4章 村落空間の構造と要素
第5章 災禍と過密居住
第6章 住宅の状況―明治初期を数値に見る
第7章 居住の状況―明治初期を事例に見る
著者等紹介
高阪謙次[コウサカケンジ]
1946年、名古屋市生まれ。1971年、名古屋大学大学院工学研究科修士課程建築学専攻修了。工学博士。現在椙山女学園大学生活科学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アメヲトコ
3
泉州の大規模被差別部落であった南王子村の空間的変遷を追った一冊。元禄年間に集落移転と自立を果たし、その後雪駄産業の隆盛もあって急激に人口が増え、高密度で都市性ももつ集落へと発展したといいます。白眉は明治期の戸籍を利用した居住環境の考察で、上層部は門長屋に土蔵もある立派な屋敷ながら、下層部では最小限住居に超高密度居住を強いられるという大きな格差が衝撃的。著者は建築計画が専門で障害者環境の研究から居住史研究に進んだ異色の経歴の持ち主で、被差別部落研究を立体的にする重要な成果だと思います。2016/10/11