内容説明
将軍家や大名家は、文学的活動をその権力の誇示として積極的に利用していた。寺社に奉納された将軍の歌仙絵、幕府で行われた柳営連歌、帝王教育の教材とされた『帝鑑図説』など、権力といかに関わっていたのかを解明する。
目次
序章 武家の荘厳
第1章 柳営連歌考(将軍の連歌;二ノ丸権現様興廃記;御連歌御由緒考;稲荷社と柳営連歌)
第2章 『帝鑑図説』考(模倣と変容;唐冠人物の来歴;唐破風考;『帝鑑図説』の読まれかた)
終章 権力と出版
著者等紹介
入口敦志[イリグチアツシ]
昭和37年(1962)、福岡県出身。九州大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)(九州大学)。人間文化研究機構国文学研究資料館助教。専攻、近世文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山がち
0
国文学の研究者だが、非常に手広くやっていて驚いた。個人的には序章の歌仙絵についてもっと詳しくしてほしかった。歌を詠まない人々の代償行為として、中央の公家に染筆してもらい奉納するというところさえも、正直短くてあんまり納得のいくものではなかった。柳営連歌に関しては、ある種歌壇史的な見方がなされていたように思う。里村家以外の連衆の変化、あるいは第三の詠み手の変化という点に見るべきものがあるというのは興味深く読んだ。また、家光期における連歌の宗教性の強さ、家光とのつながりの誇示なども私には大変面白かったと思った。2014/04/07