内容説明
日本人の、日本人による歴史観をとり戻そう。旧約聖書からアナール学派まで、古今東西の歴史学を縦横無尽に一刀両断!西洋にとらわれず日本人自身の手で歴史を語ろう。
目次
第1章 リベラルに支配された日本の歴史の世界
第2章 日本人は日本史をどう書いてきたか―古事記・日本書紀から皇国史観まで
第3章 西洋人は歴史をどう書いてきたか―旧約聖書と終末論
第4章 進歩史観と福澤諭吉
第5章 アジアは本当に遅れていたのか―ヘーゲル歴史観が世界史を歪めた
第6章 ランケの実証主義史観が未だに学界を支配している
第7章 階級闘争史観は日本に合致しない
第8章 ウェーバー「合理性」史観は日本になじまない
第9章 アナール学派とどう戦うか
第10章 新しい日本史観を確立せよ
著者等紹介
田中英道[タナカヒデミチ]
1942年生まれ。歴史家、美術史家、東大文学部卒、ストラスブール大学Phd.東北大学名誉教授、ローマ、ボローニャ大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
13
2000年代初頭に刊行された、『新しい日本史観の確立』の再刊本。内容は少し加筆訂正されているが、大きな変更を含むものではない。現在の日本史学界の思想的根拠となっている、19世紀ドイツの歴史家ランケと弟子でそれを日本に伝えたリースの歴史思想、それとランケが批判した哲学者ヘーゲルの歴史思想、マルクスの発展段階説、マルクス衰退後の生活文化史を重視するアナール学派の歴史思想を俎上に上げて検討、批判している。一般書のような装丁だが、内容が西洋歴史哲学なものだから結構難しい。つづく。2020/02/26
mazda
9
日本の歴史は、長いことマルクス主義の歴史家たちによって自虐史になってきたというスタンスで、多くの日本の学者は、日本を貶める主張をすることが多々あるようです。縄文、弥生は土器の話だけ、律令についても天皇の話はなし、日本の歴史書があるのに魏志倭人伝のようないい加減な本を引用して、日本人は刺青をしていただの、意味不明なことをあたかも史実として伝える教科書には、著者でなくとも大きな違和感を覚えます。近隣諸国に何でお伺いを立てないといけないのか、まったく理解不能なのも同感です。2022/03/18
くらーく
4
『世界史の中の日本 本当は何がすごいのか』以来ですかね、著者の作品は。情報量がものすごく多いです。これは、日本が記紀の頃から、記録を残し、保管することを、これまでずーっと続けてきたからでしょうね。幸いな事に、今でも1500年程前の記録がきちんと残っているなんて、凄いですなあ。そういう事を、学校では習わなかったし。振り返れば、授業で教わった事に何の疑問を持たずに、ひたすらテストのために暗記。テストが終われば忘却ですものねえ。事実を大切にする、子孫のために記録を残す。先人の想いを忘れてはいかんですな。2022/03/19