内容説明
新興国ドイツ・日本が挑んだ世界金融支配体制とはなにか。戦前の日本が震撼した「在米資産凍結」という名の経済封鎖が戦争を起こすきっかけだった!
目次
第1章 すべてはドイツの経済破綻から始まった
第2章 ナチスが台頭した経済的要因
第3章 日本とイギリスの経済戦争
第4章 満州利権を狙っていたアメリカ
第5章 軍部の暴走に日本国民は熱狂した
第6章 世界経済を壊したアメリカ
第7章 なぜアメリカが世界の石油を握っていたのか?
第8章 日米英独の誤算
著者等紹介
武田知弘[タケダトモヒロ]
1967年福岡県生まれ。西南学院大学経済学部中退。1991年大蔵省入省。1998年から執筆活動を開始。1999年大蔵省退官、出版社勤務などを経て、フリーライターとなる。歴史の秘密、経済の裏側を主なテーマとして執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
32
ヒトラーはナチスの創設者にあらず(032頁)。経済とは自分だけが潤うことはできない。空いても健全なときに、はじめて自分が潤うことができる(043頁)。独裁が支持された背景も第2章には書かれている。ドイツ財界には共産党への恐怖があったという(054頁)。ヒトラーは3年で失業者を6分の1まで減らしたという(055頁)。アベノミクスでは半失業者=非正規を増やしただけだけどね。ナチスは当初、公共事業や福祉増進に予算を使っていた(059頁)。2016/05/08
シュラフ
25
第二次世界大戦は枢軸国側(日独伊)の敗北によって、連合国(正義)と枢軸国(悪)の戦いとして我々は歴史を学んでいる。石油資源のないままに米国という大国相手に開戦に踏み切ってしまった当時の日本の愚かな為政者を嫌悪する。だが戦争に至る事情を経済面から客観的に眺めてみると、また違った真実が見えてくる。米英仏のエゴというものこそが大戦に至った原因ではないか。つまり第二次世界大戦とは経済問題こそが発端。戦前の日本すなわち悪、と単純に考えるな。歴史修正主義ではなく、戦争の真の原因を見極めねば犠牲者らの魂は救われない。 2018/10/21
ちゃま坊
16
1930年代のドイツ、日本、アメリカ、イギリスの経済を見ると第二次世界大戦への歩みが分かってくる。隣国の戦争に加担して第一次世界大戦で莫大な賠償金を背負ったドイツ。経済は破綻しハイパーインフレと失業でドン底だった。失業者救済で台頭してきたヒトラーは救世主に見えたのだろう。ケン・フォレット「百年三部作」や船戸与一「満州国演義」の時代背景を思い出す。今アメリカ中国の貿易戦争で関税の応酬をやっているが、当時と似て来た。2019/09/24
hk
8
「エンピツからミサイルまで」 これは戦前に総合商社として世界を席巻していた三井物産を揶揄したフレーズだ。翻訳するなら「何でも売りやがってけしからん。この黄色い肌をした死の商人め」ってな具合であろうか。本書では多くの学びを得たが、ここでは世界に冠する総合商社・三井物産登場のエピソードを要約してみよう……明治維新直後、日本の主力輸出製品は「生糸」だった。生糸とは絹の原材料であり、日本全国で「零細事業主」により生産されていた。この構造的欠陥をついて外国商人は利鞘を抜くために一計を案じる。まずドケチな筈の外国商人2015/11/29
スプリント
8
既得権益を離さない米英仏と敗戦からの復興を目指すドイツ、新興国日本。第二次世界大戦を引き起こした経済的要因について掘り下げています。2015/11/29