内容説明
精神科医療・精神保健・精神障害者福祉は、それぞれ本来の守備範囲を持ちながらも複雑に絡み合い、巨大なフィールドを形成している。かつての宇都宮病院事件(1984年)以後も精神科医療現場の事件は絶えず、そのたびに改革が叫ばれてきたが成果は見えてこない。また長期入院患者の地域移行も遅々として進まない。一方「障害者自立支援法」「心神喪失者等医療観察法」などが施行され、このフィールドの枠組み自体が大きく揺らいでいる。果たしてこれらは改革なのか?法・制度・施策の変化のなかで問題の所在を総合的・実証的に検証する。
目次
精神保健医療のデータをどう読むか
精神保健福祉法の根本問題―抜本的見直しに向けた論点整理
「障害者福祉と介護保険」制度論のゆくえ―議論の経緯から見えてくるもの
訴訟能力問題の基礎とその周辺
医療観察法37条鑑定と審判をめぐる言説の分析―リスク評価と治療適合性はわが国精神医療の歴史にとってなにを意味するか
統合失調症を中心とした精神障害者の就労支援―これまでの経過と今後の方向性
退院支援施設問題―中間施設論争と障害者の権利保障
臨床心理士・医療心理師の国家資格化を巡って
いわゆる「7体1入院基本料」問題を考える
児童青年精神科医療の課題
著者等紹介
岡崎伸郎[オカザキノブオ]
1958年生まれ。精神科医。東北大学医学部卒業。東北大学附属病院精神科病棟医長、仙台市精神保健福祉総合センター所長、小高赤坂病院副院長をへて、2009年から独立行政法人国立病院機構仙台医療センター精神科部長。精神保健従事者団体懇談会代表幹事、(社)日本精神神経学会理事、日本精神病理・精神療法学会評議員、全国精神医療審査会連絡協議会理事など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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