内容説明
国家間の対立の武器であり原因でもあった電信による情報の伝達をいかに迅速化し統制し防衛するか。また暗号通信と解読、通信諜報と防諜をどのようにリードしていくか。電信革命の国際関係史・軍事史。
目次
電信と国際関係
新たな技術
世界的な電信ケーブル・ネットワークの拡大―一八六六~一八九五年
一九世紀末における電信と帝国主義
世紀転換期の危機―一八九五~一九〇一年
諸列強と電信ケーブル危機―一九〇〇~一九一三年
無線時代の始まり―一八九五~一九一四年
第一次世界大戦時における有線および無線電信
第一次世界大戦における通信諜報
対立と決着―一九一九~一九二三年
技術の大躍進と商業競争(一九二四年~一九三九年)
第二次世界大戦における通信諜報
海上通信をめぐる覇権戦争
番人の交代
電信、情報、そして安全保障
著者等紹介
横井勝彦[ヨコイカツヒコ]
1954年生まれ。明治大学大学院商学研究科博士課程単位取得。現在、明治大学商学部教授
渡辺昭一[ワタナベショウイチ]
1953年生まれ。東北大学大学院文学研究科後期博士課程満期退学。現在、東北学院大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Miyoshi Hirotaka
4
電信ケーブルは商業的事業としてスタートしたが、程なく帝国主義の先遣隊として機能。明治維新の頃にはイギリスが「世界制覇は海底ケーブルの制覇にあり」という理念を掲げ、国際電信網建設を急ピッチで進めていた。中国は電信を侵入者として拒絶したのに対し、わが国はグレートノーザン電信会社に便宜を与え、国内電信網の整備を進めた。これは、不平等契約だったが、アジア圏での近代化で一歩先んじ、技術も内製化された。1910年代には無線による長距離通信が実用化。通信の選択肢を多くもったイギリスが帝国主義時代の優位性を維持し続けた。2013/09/14
丰
2
out:ダニエル・R・ヘッドリク『情報時代の到来―「理性と革命の時代」における知識のテクノロジー』2014/07/06
ワッキー提督
0
19世紀から20世紀にかけての通信の世界史といった趣の一冊。帝国主義列強による通信網構築の悪戦苦闘の歴史が興味深い。一方で、大きな枠組みとしてはイギリスの支配的地位が最終的にアメリカに移る過程を辿っており、世界的な海上覇権と通信の世界の覇権が、似通った要素から生み出されているように感じた。2023/08/17