内容説明
クラウディーネとナニー、そしてモリーは、第二次大戦中日本軍の占領下にあった「蘭印」(現インドネシア)で、日本人の父と蘭印系オランダ人(インドネシア人とオランダ人の混血)の母から生まれた。父とは戦後すぐ生き別れとなり、そののち母に連れられて見知らぬ祖国・オランダに渡る。彼女たちは、本当の父の、愛情はおろか存在すらも知らないまま育った。しかも、日本軍収容所体験者からは「敵の子」として蔑視されてきた。1990年前後、3人は自分が半分日本人であることを明らかにして、本当の父親を捜し始めた。「わたしは一体誰の子なのか」、「私は望まれて生まれた子か」、「父はどんな人だったのか」、「父は母を愛していたか」、さまざまな疑問が頭の中を駆け巡る…。本書は、人間としての存在価値を求めて苦悩する彼女たちの、心の旅の記録である。
目次
第1章 モリーの物語(モリーの父が見つかる;声の初対面、そして初の文通 ほか)
第2章 ナニーの物語(見知らぬ日本のお父さんへ;トラウマ(精神的外傷)の治療 ほか)
第3章 クラウディーネ・マサコ、そして母(母は“慰安婦”にされるのを免れた;父親捜し、あきらめない)
第4章 半分日本人でよかった(ナニー、二度目の訪日;半分日本人であることの誇り ほか)
第5章 オランダからのチューリップ
著者等紹介
葉子・ハュス‐綿貫[ヨウコハュスワタヌキ]
1959年大分県生まれ。九州大学医療技術短期大学部看護学科及び京都府立保健婦専門学校卒業。85年から2年間、青年海外協力隊・保健婦隊員としてガーナ共和国に赴任。88年結婚、90年からオランダ人の夫とオランダのレンクムに住む。二人の娘の母。特別養護老人ホーム勤務ののち、現在訪問介護・看護に従事する。そのかたわら、94年より日系二世オランダ人のために翻訳・通訳などの奉仕活動に努めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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