出版社内容情報
第二次大戦末期、ニューギニアのラバウルでの日本軍の飢餓状態は酸鼻をきわめた。夜中に手術室に忍び込んで味方の兵士の術後に残した血をすするなど、この世のものとも思えない地獄絵図をそのまま彩色画として残した一兵卒がいた。50年という時間を越えて蘇る戦争体験画集。
内容説明
戦場の最前線で描き続けた執念の作品を初めて発表。米軍捕虜との友情、戦闘で倒れる戦友、見捨てられた棄兵、自決、飢餓と人肉食など人間の生と死の極限。一兵士の目で戦争のすべて、その真実を描ききった感動的体験記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
35
図書館内にて読了。著者は独立臼砲第1連隊から第8方面軍第6遊撃隊に所属しラバウルにて転戦していった。戦友の死、慰安婦、米軍捕虜との交流、現地人の交流ないし敵対、終戦後の収容所生活等、壮絶な体験が絵とともに多数述べられている。傷病兵が戦死した兵士の遺体を掘り起こして血をすすっていた場面は下手な映画よりもトラウマになる絵面である。仲が良かった米軍捕虜(その後著者と別れ爆撃で戦死)との約束で戦争体験を絵にして残したという。分量はあるが、たいへん読みやすい。2023/02/08