出版社内容情報
髪の文化---人びとの暮らしの中で、男の髪、女の髪はどのように位置づけられてきたのか。
奈良時代から明治まで、それぞれの時代にその時代精神を生き生きと映しだす鏡面としての「髪形」を、豊富なエピソードをまじえて結いあげる。
著者の手書きによる260余の刻明な結髪図、小道具図も収録した。
【書評再録】
●北日本新聞評=異色の日本文化史。
●歴史街道評=260余の結髪図、小道具図が配された「日本髪形事典」。
●読書人評=各時代の風俗、社会背景と、男性および女性の髪形の種類と特徴を詳述。
【内容紹介】本書「序---樋口清之氏」より
「黒髪の文化史」という言葉は、じつにつややかで、生きたロマンに満ちた美しい言葉だ。読者は、この書名だけで、著者が日本の女性として、その黒髪をいとおしみ、それに寄せてきた愛情やなつかしさの情の中で、黒髪が演じ、黒髪が生きてきた生活史を述べようとしている意図に触れてくださると信じたい。
じつは大原さんは日本人の服装、装身具から、所作までを合理的に理解することを専門にしてこられた。と同時にそれが日本人らしい美しい自然や人間関係の中で、なぜどのように生長したかという必然性をも究明しようと、永年努力してこられた。いわば、生活史的な日本学をまとめる情熱が彼女を支えた生甲斐であり、これからもこの道の第一人者として進まれる大事な方である。
本書はその一つの成果として日本人の髪に関する文化史を、一般にわかりやすくまとめられたものであり、日本人の髪の文化史の概要がじつによく理解できるように組立てられている。古今のおもな髪の著書にふれながら、時代生活の中で、なぜこんな多種類の結髪が存在したのか、ということが理解できて便利である。
【主要目次】
▲▲第1章 飛鳥、奈良時代
髪と人との深い関わり(華麗なる唐文化の影響/髪にまつわる呪詛事件/髪上げと霊魂)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第2章 平安、鎌倉時代
光の平安と陰の鎌倉(きらびやかな王朝風俗/姫君の黒髪と鬢批ぎ/大宮人の髪洗い)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第3章 室町、安土桃山時代
沈静から躍動へ(新しい文化のめざめ/お市の方と室町形「おすべらかし」
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第4章 江戸時代前期
町人文化の興隆と結髪(清新な上方文化/結髪の開花と構成)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第5章 江戸時代中期
華ひらく江戸風俗(濃厚な趣味性/羽ばたいた鬢)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第6章 江戸時代後期
爛熟期の江戸文化と髪形(粋の世界/優婉なる日本髪の完成)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第7章 明治時代
異風の惑い(髷切り異聞/髪上げの新風)
髪形の種類(男子の髪形/女子の髪形)
▲▲第8章 髪形と女の仕事
宮廷女官(御所のすがた/女官の階級/女官の髪形)
大奥女中(大奥の実態/大奥女中の生活/大奥女中の髪形)
京舞妓(四季の舞妓/舞妓の髪形/かんざし12カ月)
▲▲補・結髪の小道具と女髪結いについて
元結/櫛/かんざし/被衣笄/笄/女髪結いの自立
内容説明
髪の文化―ひとびとのくらしのなかで男の髪、女の髪はどのように位置づけられてきたのか。生ける霊魂と信じられ呪術につかわれた古代、爛熟した文化のなかで華麗な姿をきそう江戸期。古代から現代まで、それぞれの時代にその時代精神をいきいきと映しだす鏡面としての“髪形”を豊富なエピソードをまじえて結いあげる。
目次
1 飛鳥、奈良時代(髪と人との深い関わり;髪形の種類)
2 平安、鎌倉時代(光の平安と陰の鎌倉;髪形の種類)
3 室町、安土桃山時代(沈静から躍動へ;髪形の種類)
4 江戸時代前期(町人文化の興隆と結髪;髪形の種類)
5 江戸時代中期(華ひらく江戸風俗;髪形の種類)
6 江戸時代後期(爛熟期の江戸文化と髪形;髪形の種類)
7 明治時代(異風の惑い;髪形の種類)
8 髪形と女のしごと(宮廷女官;大奥女中;京舞妓)
結髪の小道具と女髪結いについて
感想・レビュー
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花林糖
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澤水月
yamashin