内容説明
行政組織とデザイナーは、どのように連携できるのか?従来の問題解決手法では対処できない社会課題=「厄介な問題」に挑み、公共政策や行政サービスにより良い変化を生み出したいデザイナーおよび公的機関関係者必読。これからますます求められる行政×デザイナーの協働における傾向と対策を、オランダにおけるさまざまな事例を紐解きながら解説。中山郁英「日本における、行政組織へのデザイン導入の取り組み」収録。
目次
第1章 公的機関と「厄介な問題」
第2章 デザイン思考とチェンジマネジメント
第3章 デザイン思考と連携の役割
第4章 デザイン思考とステークホルダーマネジメント
第5章 デザイン思考と権力
第6章 公的機関におけるデザインプロセスと連携
著者等紹介
シャミネー,アンドレ[シャミネー,アンドレ] [Schamin´ee,Andr´e]
プランナーとして研鑽を積んだのち、2007年よりオランダのコンサルティングファームTwynstra Gudde(トゥインストラ・グデ)にて組織コンサルタントとして従事。組織科学とデザイン思考を用いてイノベーションをもたらす専門家として、数々の社会課題の問題解決に取り組んでいる。デザインアカデミー・アイントホーフェン、ナインロード大学ビジネススクールをはじめとする学術機関で客員講師も務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Defricheur
7
いわゆるデザイン思考を用いて行政機関の公共サービスを変化を与える方法を、オランダにおける具体例を交えて説明する。組織変革を含む大きな文脈にとどまらず、特定のプロジェクトにおける対症療法的・前例踏襲的な解決方法の提案・実行を戒めるミクロな文脈にも言及しており、示唆に富む。2022/08/16
mutsuono
1
面白かった。やってみたい。行政組織だけでなく、デザインに理解のない企業でデザイナーがうまく動くにはどうすればいいかを考える場合にも参考になりそう。2019/09/05
Atsumi_SAKURADA
0
オランダでの行政コンサルにおける著者らの実践から、経験則をある程度、体系化して解説した本です。操作的な概念に関する記述はなかなか抽象度が高いのですが、一方で実例とともに言及された想定され得る困難に関する記述は、本邦での実践でも水先案内となるかもしれません。個人や個別の組織での蓄積の域を出ない方法論が、このように批判的検討にも耐える形で共有されることは、ひいては公共政策を通して社会全体の利益に資するはずです。2022/01/03
しぇい
0
訳書だからか小難しい表現が多く、何度も躓きながら読み終えました。時々挟まれるオランダの事例が面白くて分かりやすい。 公共事業で抜けがちなエンドユーザー視点の重要性やそれを取り入れるプロセス、既存の行政システムの課題や克服のヒントがありました。 失敗を怖がったり、すぐ解決法に飛びついたり、慣例を守りたがるのはホントに行政の悪いところ。流動的なこのご時世では、世間のニーズについていけなくなる。 巻末の日本の事例は、もっと他にあるでしょ!と思いました。2021/03/13
doji
0
どうしてこうもデザイン思考に関する翻訳書に対してアクチュアリティを感じられないんだろうと思いながら読んでいると、そもそも日本における縦割り社会のピラミッド構造における組織構造において、デザインが役割を果たすいたる過程が、欧米とは比べものにならないほど大変なのだと思う。そりゃデザイナーが共感を持ってステークホルダーと接し、いかにわかりやすくするかフレームワークを整理し、行政内でコンフリクトが起きない配慮ややる気にさせることで効果は生まれるに決まってるけど、日本のおじさんはそう簡単に首を縦に振らないのだ。2020/09/26