内容説明
社会の分断を生む5つの問題。「自分の頭で考える」ために、何が必要か?
目次
序章 「自分で考える」とはどういうことか?
第1章 性差―なぜ、哲学にフェミニズムが必要なのか?
第2章 人種―黒人の肌は本当に「黒い」のか?
第3章 親子―何が「子どものため」になるのか?
第4章 難民―受け入れるべき責任を負うのは誰か?
第5章 動物の命―肉を食べることと動物に配慮することは両立しうるのか?
著者等紹介
小手川正二郎[コテガワショウジロウ]
國學院大學文学部准教授。1983年、東京生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科後期博士課程修了。博士(哲学)。専攻はフランス近現代哲学、現象学。現象学の観点から、性差・家族・責任などの問題に取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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のんぴ
19
#NetGalleyJP 普段気づかずかけている色眼鏡に対して、こんな眼鏡もありますよ、と別のパースペクティブを提案してくれている。個人の快不快に引きずられず、公共の利益や、相手がどれぐらいシリアスにダメージを受けるか勘案して、判断することの重要性を知ることができる。実際できるかは別として。2020/05/07
Narr
4
性差・人種・親子・難民・動物の命という5つのトピックを現象学の視点からアプローチし、読者に思考を促す良書。簡潔ながらも圧倒されました。現実を解きほぐすとはつまり現実の「難しさ」を解きほぐすということ。個人的には第1章で性差を扱う作戦には唸りました。ここには現象学から発した他者理解へ向かう哲学の肝があります。この章では「かわるまでわかる」ことの必要性を意識することができるはずです。性差は私たちの社会に深く根を下ろしています。なればこそ、他者の経験に誠実に耳を傾けることが、現実を解きほぐす一助になるはず。 2020/05/01
doapon
3
「性差」「人種」「親子」「難民」「動物の命」ー このトピックの中のどれかひとつ、気になるところだけでも。考えることのしんどさを知ること、向き合うこと。わかることはかわること。2023/08/14
Bevel
3
引用されてる文献のばらばら感がちょうどよい感じで結論も穏当でひとに勧めやすいなと思った。読者が自分で考えて変わることを筆者が信じてるという立場は、記述がもっとねじれそうって思ったけど、想像以上にすっきりしてた。筆者自身の思考の変遷を追体験させるというのに近いのかも。2023/05/15
タオルケット
3
考えることが世界を変えることにつながるというのは、祈りのような考え方だと思う。選挙が近いからと考えるのではなく、常に傍に持ち合わせておくべき考え。 いろんなテーマを取り上げてくれたことで、特に、自分には直接関係ないけど...ということに対してどう向き合うか、示してもらえたような気がする。2022/07/01