出版社内容情報
「見慣れた世界を初めて見るかのように見ている」
――鷲田清一 氏
衣食住と言われるように、服は人間にとって不可欠なものです。しかし、私たちはいつしか〈ファッション=流行〉としてしか衣服を捉えなくなってしまいました。まして、日本人は近代以降「洋服」を着ることを当たり前のこととしています。では、服飾において私たち日本人が培ってきたものは捨て去られるだけなのでしょうか?
著者は、大学院まで哲学を学び、そこから服飾の世界に転じた後、「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトとしたブランド「matohu(まとう)」を立ち上げました。その方法は、「言葉から服を生み出す」というものです。
私たちはいま、どのような服を着ているのか。そして、服とは何から生まれるのか。私たち自身の日々の生活を見つめ直すことで、いつしか忘れてしまった「日本の美意識」に気づくことができます。気鋭のファッションデザイナーが紡ぐ、服と生活を考えるための哲学的エッセイ集。
目次
はじめに――いま私たちはどんな服を着ているだろう
第一章 気づきを生かす
はじめに「言葉」がある
言葉の矢――ドイツで問われた根本
哲学とファッション
立体裁断、自由の造形
人のうつわ
おしゃれの意味
服が生み出す「交わりの場」
「和」という言葉
枯野見――風雅な遊び
「もの」が語る生活の秘密
「衣料危機」って何?
第二章 「日本の眼」で見つめる
「日本の眼」とは何か
「かさね」――季節と色と言葉のデザイン
「無地の美」――無限の味わい
「映り」――取り合わせの不思議
「やつし」――簡素な豪華さ
「見立て」――物の転生
「あわい」――関係性の美学
「尽くし」――豊かさの祝祭
「素(しろ)」――色なき根源の色
「ほのか」――無から出ずるもの
「かろみ」――物数を尽くす
「おぼろ」なる世を愛する
「うつくし」――かわいさと強さ
「いき」――生き方の理想
「かざり」――命の荘厳
「なごり」――終わりと始まり
第三章
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