内容説明
音楽作品の解釈とは何か?ハインリヒ・シェンカー(1868‐1935)が挑んだ難問に関する本邦初の本格的な研究書。西洋の音楽理論や音楽美学、音楽史といった分野にとどまらず、解釈学や文学理論までを参照し、新たなシェンカー像を浮き彫りにする。音楽作品を「解釈」するとはどういうことか、「シェンカー理論」はどのように形成されていったのか、そもそも「旋律」とは何なのか。音楽愛好家のみならず、演奏者、そして、分野を超えて幅広い研究者層に読まれるべき必携の書。
目次
序 1920年代を中心とするシェンカーの作品解釈(導入―シェンカーとシェンカー理論・分析;本書の目的 ほか)
第1章 シェンカーの「音楽内的」解釈学―クレッチュマーとディルタイの解釈学との比較から(議論の射程;シェンカーの「音楽内的」解釈学 ほか)
第2章 シェンカーの言語連想ナラティヴとウアリーニエ・ナラティヴ(物語り論とシェンカーの作品解釈;言語連想ナラティヴ ほか)
第3章 ハルムとシェンカーの旋律線概念とその分析実践―書簡をとおした比較考察(ハルムとシェンカー;旋律線概念における還元的思考 ほか)
結語 シェンカーをめぐる新たな関係図
著者等紹介
西田紘子[ニシダヒロコ]
九州大学大学院芸術工学研究院助教。ロータリー財団奨学金を得て2005年より2年間、ヴィーン音楽演劇大学博士課程で音楽理論・分析を学ぶ。2009年、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程(音楽学専攻)修了。博士(音楽学)。欧米の音楽理論や音楽美学を専門領域としつつ、演奏現場の分析や日本のオーケストラ研究も進めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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