内容説明
『抑圧家族』で育てられたロジャーズの人生そのものが『真の自分自身になる』というテーマをめぐって展開されていた。人間・ロジャーズに焦点を当ててその生涯と思想形成の歩みを解明すると共に、彼の理論と実践のエッセンスを分かりやすく説いた格好の入門書。スピリチュアルな次元に足を踏み入れた後期の思想・実践や東洋思想との関連にも光を当て、カウンセリングの新たな地平を切り開く。
目次
第1部 人物篇(ロジャーズの生涯と思想形成過程―ロジャーズってどんな人?)
第2部 自己発見篇(自分が“自分”になるということ―ロジャーズの基本メッセージ;ロジャーズと結婚・教育・社会)
第3部 臨床篇(ロジャーズのアプローチ;ロジャーズのカウンセリングの実際)
第4部 補論(ロジャーズと日本のスピリチュアリティ―ロジャーズ・ルネッサンス・ムーブメント)
第5部 資料篇(主要著作とその概要―もっとロジャーズを知りたい人のために)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒頭巾ちゃん
27
ロジャーズを本当に知っていたり、読んだことがある人はほとんどいないでしょう。それらの人々は往々にして、ロジャーズを批判します、と筆者。“聞いているだけ、おうむ返し”というレッテルを張る人は本書の逐語を読むべき。そして、彼の広い意味での想いやなぜ“資格”や“協会”を作らなかったのかを理解すべきです。それがあだとなって今では地位を確立しきれていないのですが(~_~;。とっても奥が深く手元において再読すべき1冊です。2013/11/28
Tai
18
受容され共感的理解を得ることで、心の中の他者から解放され「ひとり」になる。カウンセリングとは他者との関係の中で「ひとり」になることができるという逆説的なこと。自己に耳を傾け対話する/教育の目標は「学び方学習」。学習の仕方を学習した人間、適応や変化を学習した人間を育てるべき。「教師と生徒の人間関係の質」が求められる/実現傾向概念によれば、この世の全ての命あるものは、本来、自らに与えられた命の働きを発揮し、より良く強く生きるよう定められている。晩年、この働きが宇宙における万物に与えられているとした。2022/12/18
riviere(りびえーる)
12
【再読】自分の立ち位置を確かめたくなるとき読む本。ロジャーズの「治療的変化に必要にして十分な条件」に戻ってみることだけでなく、ロジャーズ自身の波乱に満ちた人生を通じて「自分が自分になるということ」を考えるために。2015/11/24
Moeko Matsuda
9
再読。前にも持ってたはずなのに「夜と霧」と共に本棚から消えていたので、誰かに貸したまま失くしていたのかも。その後たまたま本屋で見つけて買ってきた次第。流石に読み応えがあった。学生時代から知っていて(というか、彼の講義を受けたくて大学に入ったのに、彼はすぐに別の大学に行ってしまった。とほほ)思い入れのある研究者の著作。あっちの界隈では色々大変らしいが、門外漢の自分はただ面白く読むのみ。1997年初版のこの本、私の持っていた一冊目は第2版?いまや二十数年の時を経て18刷までが発行される名著の一つになった模様。2021/03/22
Rie
8
ロジャーズと言えば、クライエント中心療法ぐらいしか知識のない私でも分かり易く読めた。特にロジャーズの生涯を辿り、自己発見について書かれた第一部、第二部は、"自分"になるということは何と壮大な物語なんだろう!と感じた。ロジャーズが最期までその過程の中にいたという説明に好感を覚える。第三部以降では批判と見直し、更に発展させた考えにも触れていて面白かった。内容に偏り過ぎず、自分にもたらす意味を受け取る努力をしたい。2015/08/17