出版社内容情報
レスリー・カーン[レスリーカーン]
著・文・その他
東辻賢治郎[トウツジケンジロウ]
翻訳
内容説明
なぜ、ベビーカーは電車に載せづらいのか?暗い夜道を避け、遠回りして家に帰らなくてはならないのはどうしてか?男性基準で計画された都市で、女性たちはどう生き延びてきたか。これまでと違うやり方で「街を作り、街を生きる」ためのフェミニズムの建築的展開。
目次
イントロダクション 男の街
1章 母の街
2章 友達の街
3章 ひとりの街
4章 街で声を上げること
5章 恐怖の街
著者等紹介
カーン,レスリー[カーン,レスリー] [Kern,Leslie]
マウント・アリソン大学地理・環境学准教授、女性学・ジェンダー学部門ディレクター。専門はジェンダーと都市、ジェントリフィケーション、フェミニズム都市論など
東辻賢治郎[トウツジケンジロウ]
1978年生まれ。翻訳家。関心領域は西欧近代の技術史、建築史、地図史、紀行など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
38
副題:Claiming Space in a Man-made Worldがしっくりくる。男性がデザインした世界で女性にはどのような居場所があるのか。そして、私たち女性はどのように権利を主張していくべきなのか…。カナダからの発信だが、基本日本の状況と同じだ。淡々と書かれているので、男性読者にも女性が感じている不平等や居心地の悪さを受け止めやすいのではないだろうか。私にとっても色々な気づきがあった、ありがたい一冊。まだ完全にかみくだけていないので、もう少し自分で実生活を見返しながら考えを深めたい。2022/12/08
katoyann
20
地理学者がフェミニズムの観点から女性のための公共空間を考察した一般書。女性は性暴力やハラスメントの被害に遭う恐怖を感じているため、公共空間にアクセスすることに困難を覚えているという。例えば公共交通機関は性暴力の温床にもなっているが、安心して公共交通機関を利用したり、街路を歩いたりすることができないが故にジェンダーの格差が広がっていくという。いわゆる「夜を取り戻せ」運動やオンラインフェミニズムまで、家父長制的な性暴力を告発するアクティビティを支持しつつ、女性の安全に配慮した都市計画の考察があり面白かった。2023/09/01
owlsoul
8
「強者」の論理、つまりヘテロセクシャルの男性的思考によって設計された都市は、女性をはじめとする多くの「弱者」の存在を無視している。気休め程度に「弱者を気遣った」デザインでは、多様な世界を実現したとは言えない。家父長制によって女性の行動を制限し、資本の増殖を第一の目的とした社会システム。その合理性に則って構築された都市。周縁に追いやられる育児や介護。繁華街では女性が「強者」の性的対象として商品化され、そのまなざしは一般社会にまで浸透している。いっそのこと、男性の存在を無視して設計された都市を体験してみたい。2024/01/24
kenitirokikuti
8
図書館にて。著者はカナダのトロント生まれのユダヤ人女性、1975年生まれ。専門はジェンダーと都市、ジェントリフィケーション、フェミニズム都市学など。名門大学でテニュアを得ている。北米のそういうそれだから、そういうそれだよな、という予想通りの内容。著者はアクティビティズムを良しとするタイプだが、アジってないと死ぬというタイプでもないからだろう。2023/02/18
ゆまたろ
6
こう言った視点で街を考えたことがなかったのでとっても新鮮だった。たとえば除雪についても書かれているが「どの道路やエリアが優先して除雪されるか」私の住む町はとにかく車道が優先される。そのため、雪が降ると歩道は全く歩けなくなり車椅子やベビーカー、運転しないお年寄りは外に出るのが困難になる。つまり大切にされていないということ。こういうことをあまり疑問を持たずにいたので正直目から鱗。きっと街のそこかしこに、多数者が優先されている作りがあるのだろう。ラストに筆者は「フェミニストシティの実現にはジェンダーや人種2023/01/02