富豪に仕える―華やかな消費世界を支える陰の労働者たち

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富豪に仕える―華やかな消費世界を支える陰の労働者たち

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784794812506
  • NDC分類 591
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「使用人」「女中」は過去の遺物なのか?否。当事者の声に基づき
労使双方の複雑な心理と「静かな暴力」を剔出する社会学の冒険

 世界各国の例にもれず、大富豪と呼ばれる層はフランスにもいる。彼らはパリ首都圏と地方(たいていは南仏)の豪邸や城に住み、使用人に仕えられながら暮らしている。一口に大富豪と言っても、代々の貴族やブルジョワなどと、一代で富を築いた新興富裕層【ルビ:ニューリッチ】では価値観も生活形態も違うが、いずれもいわゆる華やかな世界で暮らしている。彼らが光なら、使用人は影だ。本書はそうした影の存在に光を当て、彼らの労働環境、来歴、心の内を探り、人が人に仕えることの意味を問うている。
大富豪同様、使用人も千差万別でパターン化は難しいが、移民や移民家庭出身者、女性が大半を占めるという顕著な傾向がある。高給取りで雇用主から様々な現物支給を受ける者もいれば、徹底的に「搾取」される者もいる。料理やベビーシッター(富豪はあえて英語で「ナニー」と呼ぶ)を専門とする使用人もいれば、家事全般を担うマルチタスクの者もいる。多くの使用人は、より実入りのよい仕事とステップアップを求め、自分の生活や健康を犠牲にすることさえいとわず、自分よりずっと格上(と彼らが考える)の人々の私生活を共有し、彼らから評価され、さらにそれに見合うだけの金銭的・物質的報酬を得ることで満足感を得、時には雇用主に自分を投影することさえある。
現代ではかつてのような露骨な従属関係は減ったものの、「ゴールデン搾取」(使用人の献身を高値で買うこと)あるいは「静かな暴力」という形で支配は続いている。豊富なフィールドワークとインタビューを経て書かれた本書では、使用人職の内包するアンビヴァレンスが随所で明らかにされ、その分析を通じて著者は、人が人に仕える状況において、真の対等かつ自由な関係はありうるかと問う。昨今、労働を取り巻く環境はデジタル革命やコロナ禍で大きな変化を遂げつつあり、さらに日本では高齢化や人手不足が深刻化している。大富豪の使用人という特殊な切り口とは言え、今後の雇用関係や労働、また再生産労働(シャドウ・ワーク)の問題を改めて考える上で、本書は様々な示唆を与えてくれるだろう。(ダコスタ・よしむら・はなこ 翻訳家)

内容説明

億万長者の邸宅、それは親密さと搾取が同居する迷宮。使用人とその主人への綿密なインタビューを通じて両者の複雑で矛盾に満ちた関係を明かす社会学の冒険。

目次

第1章 使用人の夢
第2章 富豪の望み
第3章 いい相手
第4章 身体から仕事へ
第5章 搾取する権利
第6章 とどまるか、去るか

著者等紹介

ダコスタ吉村花子[ダコスタヨシムラハナコ]
翻訳家。明治学院大学文学部フランス文学科、リモージュ大学歴史学DEA修了。18世紀フランス、アンシャン・レジームを専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

くさてる

19
最初のうちは、富豪の生活を支える現代の使用人のプロフェッショナルな働きと豊かな生活……という感じで読んでいたのだけど、その実相が明らかになっていくにしたがって、これは現代の奴隷制、或いは過去からの身分制が持続しているだけではないかという気分にすらなってしまった。貧富の差が生み出す歪み、といえばそれまでかもしれないけど、やはりこれはちょっと。あまりにも。日本でも住み込みの家政婦の方が過労で亡くなった事件があったはずですが、21世紀の現代欧州に存在する搾取の構図にめまいがしました。お勧めです。2024/01/06

hitomi

13
読友さんのレビューを読んで。フランスや欧州の富豪と、彼らにフルタイムで仕える使用人へのインタビューを軸に、労働や格差などの問題を掘り下げた好著。著者自身も富豪宅でナニー(子供の世話係)として働いた経験を持つそうです。移民や女性差別、貧困といった問題が背景にあり、現代の奴隷としか言いようがないケースもあります。富豪たちは節税や法律に詳しいため、どうしても使用人は立場が弱くなってしまいます。法で守られることがなく、気が休まることもなく、富豪にいいように使われる使用人たちが多く、悲しくなってしまいました。2024/04/23

ROOM 237

12
仏文古典を読んでいると、主人公を陰で支える使用人の確かな仕事ぶりに控えめな佇まい、そこから得られる安心感は波瀾万丈な物語の中でこそオアシス的存在だなあとしみじみ思う。その理由が知りたくて本書を読んでみたのだが、社会の頂点たるご主人に仕える自分を誇らしく思うモチベの一方で、根底に奴隷根性を持つ人でなければ務まらないケア労働であるのは否めず。また雇用主も他人である使用人と同居し、常に動向を察知されるストレスとの折り合いなんかも興味深い。他人の家の中はわからない、もちろん豪邸の中は更にキリングフィールドですわ!2023/12/27

ブロッコ・リー

11
本書は富豪と使用人の閉じた世界の扉をこじ開けてその秘密を興味本位に暴露するのではなく、著者の博士課程論文テーマとして使用人とその雇用者である富豪とにインタビューした事実の記録である。一方論文とも異なり様々な人の目に触れることを前提としたルポのテイストを帯びていて、興味深く読了した。使用人は多くが中南米、アセアン諸国、中東、アフリカ出身で、富豪にすれば恵まれない境遇の者たちを手厚い待遇で雇用しているとの自己正当化を構成しやすい。事実、住まい、使用人家族の教育費や医療費までも現物支給する富豪もいる。2024/02/12

10
著者の博士論文をもとにした、大富豪とフルタイムで大富豪に仕える人々にスポットライトをあてた本。フランスの給与の中央値の十倍を稼ぐ執事がいる一方、法定最低賃金の三分の一で一日一八時間働かされる使用人もいる。褒め言葉、ボーナス、プレゼント、住居、食事、医療費などが支給されるかどうかは、雇用主である大富豪によりけりだ。対照的な人物へのインタビューから、持てる者と持たざる者の隠れた本音が暴露される。2024/05/03

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