スーパーマンの誕生―KKK・自警主義・優生学

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スーパーマンの誕生―KKK・自警主義・優生学

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  • サイズ B6判/ページ数 224p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784794810663
  • NDC分類 302.53
  • Cコード C0036

出版社内容情報

オバマもトランプも自分をなぞらえたほど〈アメリカ的なるもの〉を代表するスーパーマン。しかしその起源をさかのぼっていくと、隠蔽された三つの忌まわしい源泉に突き当たる。
 一つめは〈KKK〉。隠れた場所で胸にアイコンが刻まれた衣裳に着替え、ケープをなびかせて登場する正体不明の男というスタイルは、スーパーマンのものであると同時にKKKのものだ。
 二つめは〈自警主義〉。それぞれの共同体にとっての正義を遂行するため、国家の法律を無視して「正義のための暴力」をふるう自警主義こそ、スーパーマンの立場であるとともに、アメリカのフロンティアの歴史を推進したものだった。
 三つめは〈優生主義〉。「科学」の力で理想的な超人を造り出そうとしたアメリカ生まれの優生主義は、ヒトラーにも影響を与えた。
 こうした暗い起源をもつスーパーマンは、しかし、KKKから意匠を借りながらその内実を逆転し、自警から出て自警主義の悪漢と戦い、優生学から出ながら優生学の極端な推進者であったナチスと戦うヒーローとして、生まれ変わった。
 なぜそんな大逆転が可能だったのか? それを解くカギは「適合性」という考え方にある。
 適合性という概念は、優生学運動では、遺伝要因による環境への適合/不適合の不変の尺度とされた。つまり純血な白人男性こそ人間の進化に最も適合した存在だ、というわけである。
 このエリート主義的な文脈に異を唱えた雑誌があった。その雑誌『フィジカル・カルチャー』は、労働者層を読者層として想定し、遺伝的要因とは関係なく、トレーニングと食事制限―つまりフィットネス!―を通して身体を改造しすることで、誰でも社会に「適合(フィット)」できる存在になれる、と主張した。そして『スーパーマン』の二人の原作者ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターは、この『フィジカル・カルチャー』の寄稿者でもあったのである。
 世界を支配しようとはせず、世界に適合しようとするヒーロー、スーパーマン。その誕生の過程には、アメリカの隠蔽された暗部とそれをねじり返す力が刻まれている。(えんどう・とおる)

遠藤 徹[エンドウトオル]
同志社大学グローバル地域文化学部教授。「モンスター」「プラスチック」といったユニークな切り口から英米文学・文化研究を行なっている。また近年は作家としても知られ、「姉飼」で日本ホラー小説大賞を受賞、「麝香猫」で川端康成文学賞候補に選出された。

内容説明

ドナルド・トランプ大統領は「スーパー・トランプ」と名乗って自らをヒーローになぞらえ、「アメリカを再び偉大にする」と訴えた。なぜそこまでスーパーマンはアメリカ的なるものを代表し得るのだろうか?もしかしたら、ぼくたちは実はまだスーパーマンのことを本当はよく知らないのではないだろうか?―

目次

1 ファンタジーの力
2 スーパーヒーローの暗い起源(第二期のKKK;KKKのイメージを作り上げたディクソン;KKKがスーパーヒーローの発想源)
3 スーパーヒーローのエートスの由来
4 優生学とその否定(もう一人のスーパーマン;黒人ヘヴィー級チャンピオンの誕生;優生学記録所(ERO)の時代
優生学とホラー映画
優生学の衰退
黒いチンパンジーと白いゴリラ
効率性の時代
国家の便秘と流線型そして『タイム・マシン』
流線型の女たち
野蛮さの回復
逆転願望
究極の移民
最後のひとひねり)

著者等紹介

遠藤徹[エンドウトオル]
1961年、兵庫県に生まれる。東京大学文学部英米文学科・農学部農業経済学科卒業、早稲田大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程満期退学。現在、同志社大学グローバル地域文化学部教授。「モンスター」「プラスチック」といったユニークな切り口から英米文学・文化研究を行う。作家としても知られ、「姉飼」(角川書店)で第10回日本ホラー小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ロア

20
観たい映画が増えました。まずは、今からMr.インクレディブルを観ますよ!その後はバットマンシリーズを順次鑑賞する予定(∩^ω^∩)ワクワク  2017/05/30

AR読書記録

3
ちょっと間隔をあけてだらだらと読んでしまったので、感想もちょっとあやふや。米大統領選のころ、スーパーマンの扮装をしたトランプの絵のポスターかなにかを、テレビで見た気がする。スーパーマン自体は、映画もコミックスも見たことはないけど(Dr.スランプのスッパマンは、あれは大変キライなキャラだった、関係ない話だけど)、その絵でスーパーマンのうさんくささ(あんたの“正義”ってなんだ?)が明白に可視化されたなあ、とか思っていたので、この本のタイトルでまず「これは読まねば!」となった。読んでよかったよ、嫌んなるけど。2017/06/02

渡邊利道

2
スーパーマンの原型をKKK(南北戦争後にロマンス小説によって「復活」を遂げたイメージ先行のそれ)に見出し、KKKもその流れにあった自警主義をたどり直し、正義の暴力を私的に行使するのを正当化する行為の象徴化としての「スーパーマン」と、黒人への恐れが生み出したキングコングや、混血をイメージさせるドラキュラ、知的障害を可視化したフランケンシュタイン映画、と人種主義と優生学が混淆した流れを白人化して無理やり統一した「スーパーマン」と論じるアメリカ文化論。面白かったが、アメリカの文化研究の蓄積の大きさに驚かされる。2018/09/20

ぞだぐぁ

1
コスチュームを身に纏うアメリカンヒーローのルーツがKKKにあるとか、見た目白人でWASP的教育を受けて育った異星人のスーパーマンはアメリカのあるべき移民像とか面白い考え方の本。人種差別的で非道も行ったKKKをルーツに正義のヒーローが生まれたって言う考えは、人類の自由と平和を守る仮面ライダーが悪の組織から生まれたことっぽくて少しワクワクした。でも、他の人の感想で他のルーツじゃね?的なこと考えたらスーパーマン以前にも怪傑ゾロとかあるじゃんってなる。2018/11/06

tkm66

1
・・まあ、これを〈学問〉って言われると困るかな。2017/07/31

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