“被災世代”へのメッセージ―これまで、そしてこれから/‘単身者本位社会’を超えて

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“被災世代”へのメッセージ―これまで、そしてこれから/‘単身者本位社会’を超えて

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  • サイズ B6判/ページ数 233p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784794810342
  • NDC分類 367.4
  • Cコード C0036

出版社内容情報

本来ならば、2011年の東日本大震災・福島第一原発事故を契機に、日本はそれまでの歩みを反省的に振り返り、新しい時代に向けて再スタートすべきでした。しかし、その後誕生した安倍政権は、そうした反省は皆無で、経済成長主義という旧態依然の政策を全面的に復活させました。うたかたの繁栄の陰で、日本近代史の負の側面―軍事大国化、監視社会、貧困・差別問題が進行しています。
 あの大震災・原発事故を契機に、日本人が省みなければならなかったのは何だったのでしょうか。近代国家・近代社会を形作ってきた私たち日本人の、根本的な生き方そのものであったと筆者は考えます。本書では〈単身者主義〉(singlism)という概念を使って、この明治近代以来の日本人の「生き方」を問い直します。〈単身者主義〉は戦後を代表する政治学者神島二郎が作った概念ですが、その意味は「家族やコミュニティよりも国家や会社を重視し、バラバラな個人がその仕事にまい進する近代日本人の生き方(=モーレツ社員)」のことで、いわゆる独身主義(bachelor‐ism)とは異なります。〈単身者主義〉の人々が作り上げた日本社会が〈単身者本位社会〉です。この社会は、人々の生活の質よりも、会社、役所、国家の繁栄を優先してきました。
 本書はまず、こうした〈単身者本位社会〉の現象面をとりあげ、それが欧米をはじめとする他の国々といかに異なっているかを明らかにします。そして、そうした現象面の特徴がなぜ近代日本において形成されてきたのかを詳らかにします。
次に、現政権による旧態依然の経済成長主義が進められているにも拘わらず、震災以降、人々の意識の底流においては、「生き方」の問い直しが大きなうねりとして生じていることを見ていきます。新聞記事等に見られるごく普通の人々の声をできるだけ拾い集め、また、自らのフィールドワークの報告を通じて、今日の日本社会に生じているこの「地殻変動」の中身を明らかにします。
 最後に、〈単身者主義〉の克服に向けて、今日の変動において二人以上の人間が「組む」ことの意味、それに基づく新たな連帯の方向性を提起します。家族、カップル、友人という拠点を持ち、そこでしっかりと個人と個人が「組む」ことによって、足腰の強い運動は育ち、新しい時代は開かれる、というのが本書の結論です。新しい時代の形成にはまだしばらく時間がかかりそうです。本書は、感受性に目覚める最も多感な時期に、震災から大きな影響を受けた世代を《被災世代》(現在の中・高校生)と命名しました。未来を担うこの《被災世代》の皆さんに本書を捧げたいと思います。(おおもり・みきひこ)

【著者紹介】
1952年東京都三鷹市生まれ。東京都職員を務めながら日本の政治や社会について考え続けた。立教大学で生涯の師となる故神島二郎教授と邂逅。成蹊大学大学院博士前期課程修了。2010年に『日本政治思想研究』を上梓。日本政治学会会員。

内容説明

感受性に目覚める最も多感な小・中学校時代に東日本大震災を経験した“被災世代”。彼・彼女らの問いに私たちはいかに向き合っていくべきか。明治以来の日本(人)の歩みをたどり直し、震災後のありうべき社会像を共に描く。「近代日本人の生き方=‘単身者主義’」を根本から問い直す覚醒の書。

目次

序 「三・一一」によって露呈した日本社会の三つの問題とその根源
第1章 日本=‘単身者本位社会’という問題の立て方
第2章 なぜこういう社会になったのか―‘単身者本位社会’の形成
第3章 家族・コミュニティを基礎にした新しい社会形成への地殻変動
第4章 「拠点」づくりと“新しい個人主義”
結 間接民主主義に関する若干の考察

著者等紹介

大森美紀彦[オオモリミキヒコ]
1952年、東京都三鷹市生まれ。1977年、立教大学法学部卒。1985年、成蹊大学法学政治学研究科博士前期課程修了(法学修士)。日本政治学会・政治思想学会会員。立正大学・駿河台大学・聖学院大学・神奈川大学で非常勤講師を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。