出版社内容情報
近年、研究者をはじめとする多くの日本人がフィンランドを訪れ、教育・環境・福祉といったさまざまなジャンルにおいて本を著し、講演をされている。そこで紹介される内容はフィンランドを礼賛するものがほとんどである。しかし現実には、やはりどの国にもトラブルとなっていることがある。本書では、これまでの本にはないフィンランドのマイナス点も紹介している。その意味で、本書の特徴は正にこの国のリアルライフを描いていることと言える。
フィンランドに現在住んでいる人たちを私自身がインタビューし、彼らが語ったことをありのまま本書において紹介した。対象となったのは12の家族。その大半が私の友人であるが、そのなかには私の最初の結婚で生まれた三人の子ども達も登場する。2013年に行なったものが中心だが、インタビューではまず家族の紹介とともに、ライフスタイルや仕事、生活環境について語ってもらっている。聞き取るうちに共通点がはっきりと見えてきた。それは、「自然と共生する」という生活様式をもっていることであった。
続いて、フィンランド社会のありようについて意見を聞いた。自殺がフィンランドでなぜ多く起きているのか、人種差別の背景に潜むものは何か、在住外国人の立場をどのように思っているのか、失業者対策、高齢者ケア、教育の優れた点と問題点、若者のアルコールやタバコの問題、離婚が多いことの背景などについても率直な考えを聞いている。その回答に、ちょっと驚くことになるかもしれない。そして、インタビューの最後では日本に対するイメージについて尋ねた。回答が極めて肯定的であったことを私としても喜んでいる。
本書を読むことで、フィンランドに対して以前よりも深い親しみを覚えていただき、次の旅行先がフィンランドになることを願っている。(ツルネン・マルテイ)
【著者紹介】
Marutei Tsurunen・弦念丸呈1940年フィンランド生まれ。キリスト教の宣教師として1967年に来日し、英語塾を経営するかたわら日本の古典を翻訳し母国で紹介。1971年に帰化し、湯河原町議会議員を経て、2002年~2013年まで参議院議員。
内容説明
前参議院議員が母国の友人にインタビュー!普通のフィンランド人が普通の日本人に贈るメッセージ。これまでに刊行されている本には希有となる、フィンランドのマイナス点も紹介し、この国のリアルライフを描いている。
目次
引退後の喜びはボランティア活動―ヘレナとライモ夫妻
大手テクノロジー企業の管理職の目から―ヨウニ・ツルネン
芸術家たちの悩みと喜び―エイラとイエッセ
テレビ局の報道記者が見るフィンランド―カリとマルヨ夫妻
結婚しなくても幸せ―マルユット・パティヤス
三か国での文化体験を活かして―シニとヨッシ
牧師と教師という夫婦のライフスタイル―タパニとヴィリピ
日本人妻を迎えて得た穏やかな幸せ―ユハと万理美
日本での長い滞在を活かして―イルポとアイノ・リーッタ
医者が見るフィンランド―パイビ・ケキャライネン
都会で自然とともに暮らすコイブラ家―レオ、カイサ、サンッパ
狩りを趣味にするカップル―ヤーナとユッシ
著者等紹介
ツルネン,マルティ[ツルネン,マルティ] [Tsurunen,Marutei]
弦念丸呈。1940年、フィンランド北カレリア生まれ。1964年、同国社会福祉カレッジ卒業。1967年、キリスト教の宣教師として来日(1974年辞職)。1979年に日本に帰化。英語塾を経営するかたわら、日本古典文学を翻訳し母国に紹介する。1992年、神奈川県湯河原町議会議員に当選。1995年、参議院選神奈川選挙区から無所属で立候補。34万票を獲得したが次点。2001年まで4度の国政選挙に挑戦するもいずれも次点。2002年、大橋巨泉議員辞職に伴い繰り上げで参議院初当選。2004年「有機農業推進議員連盟」(超党派)を結成し、事務局長に就任。2007年、参議院全国比例区で上位再選し、2013年まで務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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