99%のための経済学 理論編―「新自由主義サイクル」、TPP、所得再分配、「共生経済社会」

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  • サイズ B6判/ページ数 174p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784794809292
  • NDC分類 331
  • Cコード C1033

出版社内容情報

閉塞する日本の政治経済循環構造をいかに打ち破るか。共生のための「市民革命」のありかを鮮やかに描いた【教養編】の理論的支柱。
タイトルからすぐわかるように、本書『99%のための経済学【理論編】』は、上梓したばかりの拙著『99%のための経済学【教養編】』(新評論 2012年)の姉妹編にあたる。【教養編】では、経済問題とその関連領域を中心に、共生の視点から国内外の現実を読み解き、とりわけ「新自由主義サイクル」+「おまかせ民主主義」+「原発サイクル」=「経済テロ」という、悪しき方程式の存在を指摘した。そしてこれを突き崩すために、多様な回路の「市民革命」を日常的に実践し、継続していくべきことを示唆した。4章構成の【理論編】も同じ問題関心に立っているが、前著では概説するにとどめた現実解釈や将来展望のうち、特に重要な論点について理論的な根拠を与えるものになっている。第1章は日本型「新自由主義サイクル」の最新仮説であり、「99%」が組み込まれている閉塞的な政治経済循環構造の構図を提示する。第2章は「99%」が目指すべき対案のひとつ、すなわち所得再分配による内需拡大のマクロ的条件を検討する。第3章では、TPPの経済成長促進効果を「実証」して注目された、内閣府の研究の理論的基礎(CGEモデル)を根底から批判する。最終章では「共生経済社会」の構想を論じている。具体的には、第2章で示唆した再分配による内需拡大と、内橋克人氏が提唱してきた地域の「共生経済」や「FEC自給圏」(FEC=Food, Energy, Care)とが、論理的に整合することを中心に、今後あるべき社会を展望している。ここではまた、他の国々も同じく内需中心の「共生経済社会」に転換すべきことや、それを可能にする仕組み、つまりケインズが考案した「国際清算同盟」や「国際貿易機関」の現代版を創出すべきことも主張している。これに関連してIMFの改革も必要になるが、この点は拙著『「もうひとつの失われた10年」を超えて』(新評論 2009年)をご参照願いたい(第5章と第6章)。共生のための「市民革命」を考える姉妹編二書。合わせてご一読頂ければ幸いである。(著者 佐野 誠)

内容説明

世界的視野から日本型「新自由主義サイクル」の破壊的本質を抉り出し、所得再分配と「共生経済」の来るべきマクロ=ミクロ連環を大担に対置する。

目次

第1章 「新自由主義サイクル」の罠―「99%」が組み込まれている政治経済的循環構造(「新自由主義サイクル」とは;日本の事例;長期の実績:利潤率と資本貯蓄の低迷)
第2章 労働市場をどう理解し、どう変えるか―「99%」のための対抗戦略(新古典派の基礎的な労働市場理論とその問題点;新古典派理論とは異なる労働市場観)
第3章 TPPの理論的批判―橋があると仮定して谷を渡る?(TPP論争とCGEモデル;CGEモデルの思考法;CGEモデルの問題点;対案)
第4章 「共生経済社会」の構想―内需主導型成長と「FEC自給圏」の整合性を中心に(マクロの視点から考える;ミクロの視点から考える)

著者等紹介

佐野誠[サノマコト]
経済学者。博士(経済学)。1960年生まれ。1982年、早稲田大学政治経済学部卒業。東北大学大学院、筑波大学大学院、東北大学助手、外務省専門調査員(在アルゼンチン日本大使館)などを経て1998年より新潟大学教授(経済学部および大学院現代社会文化研究科)。2001年、アルゼンチン国立ラ・プラタ大学国際関係研究所招聘教授として集中講義(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

9
副題の新自由主義やTPPを扱っているようなので借りてきた。フォーディズムの回路を示されている(86頁)ので、親近感を覚えた。TPPをCGEモデルで説明しているのは斬新である(第3章)。但し、第3節ではCGEモデルがパラメーターが恣意的、経験的根拠の薄弱、非現実的な仮定が前提という問題点が指摘されている。内橋克人先生のFEC自給圏、ラトゥーシュの脱成長を活用するのは納得だ。TPPは外交、経済ブロックの問題だが、ローカルな発想がないことには、国益も地域益の集積との発想は出てこないのではないか? 2013/05/25

おおにし

8
日本型「新自由主義サイクル」モデルの説明は納得できるものがあった。アベノミクスもこのサイクルを更に回すだけのものなので、99%の我々庶民には景気回復のメリットはないだろう。しかし、TPP推進派が自由貿易理論の説明に使う「リカードの比較優位論」のような、自国と相手国しかでてこない単純なモデルで、どうして多国間での自由貿易の優位性を説明できるのか、どうみても嘘っぱちに思える。本著で提唱される「共生経済社会」が長年の経験に裏打ちされた深い洞察からうまれたイノベーションであるなら、今後に期待が持てると思う。2014/01/17

ミッキー

1
実践編に続き参考になりました。経済循環も政治的と言いきってしまうのはどうかと思いますが、視点として持っていて良いとも思います。計量経済モデルの恣意性と実績との差異について参考になりました。考えの多様性の大切さを改めて思いました。2014/05/06

酔うた

0
新自由主義サイクルの欠点と、あるべき方向性を示唆するなかなかの本。ただ、ちょっと読みにくい。・・・・こういった本は、読み手のことをもう少し考えていただければありがたい。理論が良ければそれでよいのではなく・・・・2014/01/28

ozapin

0
真の共生社会を作ろうというのを丁寧に解説している。2013/04/14

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