出版社内容情報
閉塞する日本の政治経済循環構造をいかに打ち破るか。共生のための「市民革命」のありかを鮮やかに描いた【教養編】の理論的支柱。
タイトルからすぐわかるように、本書『99%のための経済学【理論編】』は、上梓したばかりの拙著『99%のための経済学【教養編】』(新評論 2012年)の姉妹編にあたる。【教養編】では、経済問題とその関連領域を中心に、共生の視点から国内外の現実を読み解き、とりわけ「新自由主義サイクル」+「おまかせ民主主義」+「原発サイクル」=「経済テロ」という、悪しき方程式の存在を指摘した。そしてこれを突き崩すために、多様な回路の「市民革命」を日常的に実践し、継続していくべきことを示唆した。4章構成の【理論編】も同じ問題関心に立っているが、前著では概説するにとどめた現実解釈や将来展望のうち、特に重要な論点について理論的な根拠を与えるものになっている。第1章は日本型「新自由主義サイクル」の最新仮説であり、「99%」が組み込まれている閉塞的な政治経済循環構造の構図を提示する。第2章は「99%」が目指すべき対案のひとつ、すなわち所得再分配による内需拡大のマクロ的条件を検討する。第3章では、TPPの経済成長促進効果を「実証」して注目された、内閣府の研究の理論的基礎(CGEモデル)を根底から批判する。最終章では「共生経済社会」の構想を論じている。具体的には、第2章で示唆した再分配による内需拡大と、内橋克人氏が提唱してきた地域の「共生経済」や「FEC自給圏」(FEC=Food, Energy, Care)とが、論理的に整合することを中心に、今後あるべき社会を展望している。ここではまた、他の国々も同じく内需中心の「共生経済社会」に転換すべきことや、それを可能にする仕組み、つまりケインズが考案した「国際清算同盟」や「国際貿易機関」の現代版を創出すべきことも主張している。これに関連してIMFの改革も必要になるが、この点は拙著『「もうひとつの失われた10年」を超えて』(新評論 2009年)をご参照願いたい(第5章と第6章)。共生のための「市民革命」を考える姉妹編二書。合わせてご一読頂ければ幸いである。(著者 佐野 誠)
内容説明
世界的視野から日本型「新自由主義サイクル」の破壊的本質を抉り出し、所得再分配と「共生経済」の来るべきマクロ=ミクロ連環を大担に対置する。
目次
第1章 「新自由主義サイクル」の罠―「99%」が組み込まれている政治経済的循環構造(「新自由主義サイクル」とは;日本の事例;長期の実績:利潤率と資本貯蓄の低迷)
第2章 労働市場をどう理解し、どう変えるか―「99%」のための対抗戦略(新古典派の基礎的な労働市場理論とその問題点;新古典派理論とは異なる労働市場観)
第3章 TPPの理論的批判―橋があると仮定して谷を渡る?(TPP論争とCGEモデル;CGEモデルの思考法;CGEモデルの問題点;対案)
第4章 「共生経済社会」の構想―内需主導型成長と「FEC自給圏」の整合性を中心に(マクロの視点から考える;ミクロの視点から考える)
著者等紹介
佐野誠[サノマコト]
経済学者。博士(経済学)。1960年生まれ。1982年、早稲田大学政治経済学部卒業。東北大学大学院、筑波大学大学院、東北大学助手、外務省専門調査員(在アルゼンチン日本大使館)などを経て1998年より新潟大学教授(経済学部および大学院現代社会文化研究科)。2001年、アルゼンチン国立ラ・プラタ大学国際関係研究所招聘教授として集中講義(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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