出版社内容情報
日本の中小企業が担ってきた海外生産と国内生産の全体像を 豊富な事例群から分析し、日本のものづくりの活路を眺望。
東日本大震災後、内外のメディアは被災した部品メーカーや中小企業からの部品調達が完全にストップしたことで、国内外の自動車メーカーの生産が停止、あるいは減産体制を余儀なくされてしまったことを繰り返し報道した。東日本の部品メーカー、中小企業が国内生産だけでなく海外生産にも大きく関わり、世界のものづくりに重要な地位を占め続けてきたことを、広く内外に知らしめることになったようである。実際、世界のものづくりに関わる中小企業は、日本全国に幅広く存立してきたのである。いまや、国内のどこかの中小企業が生産をストップすれば、それが直接、世界の工場の生産に影響を及ぼすという取引構造となっている。本書のテーマは、日本産業の量産プラスチック部品の生産に関わる大半を国内外でサポートしてきた巨大企業グループ、アークの存在に触発され、長年暖めていたものである。日本産業の海外生産が拡大する中で、アーク グループは国内のみならず海外においてもグループ企業を増やし続け、リーマンショック前には連結決算子会社180社を数えるまでの勢いを誇っていた。ところが、グループ企業の連携によるサポート体制は、リーマンショック後の世界市場の低迷と競合企業との競争激化を背景に、急速に競争力を失うことになった。本書では、こうしたアークの拡大発展と縮小を、単にアークという一企業グループの問題として矮小化することなく、広く日本産業の国内外生産における取引構造の変化に関わる問題として位置づけ直し、今後の日本産業と中小企業の行方を眺望するものである。海外生産におけるローカル企業(現地の地場企業)との取引拡大、国内生産における内製化の進展を背景とした取引構造の変化を明らかにするために、国内外の取引構造に関わるアーク以外の中小企業の事例群を豊富に集め、各種の統計・調査により日本の国内生産と海外生産の全体像を定量的に分析している。(著者 加藤 秀雄)
内容説明
リーマンショック後の生産現場の実像に迫る。日本の中小企業が底支えしてきた海外生産と国内生産の全体像を豊富なデータと事例群から定量分析し、日本のものづくりの活路を眺望。
目次
序章 グローバル化時代における日本産業と中小企業
第1章 巨大企業グループ「アーク」の拡大発展と困難―国内外サポート集団と取引構造変化の行方
第2章 日本産業の海外生産と国内生産の実態―海外生産の歩みとリーマンショック後の生産調整
第3章 中小企業の海外展開と進出後の継続・撤退状況
第4章 海外生産時代の国内生産に向けての多様な発展方向―大企業と中小企業の事業展開
終章 日本産業と中小企業の発展に向けて
著者等紹介
加藤秀雄[カトウヒデオ]
1950年香川県生まれ。1974年法政大学工学部経営工学科卒業。トーヨーサッシ(株)社員。1977年東京都商工指導所職員。1998年九州国際大学経済学部教授。2001年福井県立大学経済学部教授。2007年大阪商業大学総合経営学部教授。2009年埼玉大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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