英雄の表徴―大盗賊カルトゥーシュと民衆文化

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英雄の表徴―大盗賊カルトゥーシュと民衆文化

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  • サイズ A5判/ページ数 706p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784794808608
  • NDC分類 289.3
  • Cコード C0022

出版社内容情報

稀代の悪党はなぜヒーローとなったのか?膨大な史料から盗賊=英雄の虚実を炙り出し、民衆文化の機制を読み解く。
1721年11月28日の夕刻、セーヌ川に沿った、そして生家から指呼の間に位置するグレーヴ広場(現市庁舎前広場)で、ひとりの男が27歳の若い命を世にも残酷な車刑*に散らした。この男こそ、一八世紀前葉のパリで、400人近い一味の頭領として跳梁跋扈した稀代の大盗賊、ルイ=ドミニク・カルトゥーシュである。時あたかも、スコットランド出身のシャルラタン**的財政家ジョン・ローが、摂政オルレアン公の信を得て、太陽王ルイ14世後の破綻した国家財政を救うべく、国立銀行の紙幣とインド会社の株券を自在に操って演出したバブル経済の真っ只中。カルトゥーシュとその一味にとって、めぼしい「カモ」はいくらでもいた。こうしてカルトゥーシュは一味を率いて悪事のかぎりを尽くし、彼をモデルとしたモーリス・ルブランの「怪盗ルパン」よろしく、警吏たちの必死の探索を煙に巻いて、パリ中を恐怖の奈落へと突き落とした。殺人、傷害、窃盗、空き巣狙い…。およそ善行とは程遠い極悪人が英雄になる。この表徴の転位には、仲間の裏切りによって逮捕され、シャトレ監獄に入牢の身となりながら、自らを主人公とする、そして彼自身が演技指導を行った(!)カルトゥーシュ劇に加えて、「史実」をうたった一連のカルトゥーシュ物語、さらにはこの呪われたヒーローのイメージを社会批判の手段に用いた風刺文学などが決定的な役割を果たした。本書はそうした民衆文化の諧謔を、当時のパリの社会情勢や風俗、司法・警察制度などを見据えつつ、膨大な一次史料(裁判記録や供述書など)や同時代文献を駆使して明らかにする。体制的な英雄とは埒外のところで、民衆はなぜ彼ら独自の英雄を必要としたのか、彼らにとっての英雄とは何か。こうした英雄待望と創出のメトドロジーに、民衆文化のメカニズムを求める。本書の意図は過不足なくここにある。(著者 蔵持 不三也)

内容説明

呪われたヒーローはなぜ必要とされたのか。18世紀前葉、バブル経済渦中のパリを震撼させた盗賊は、処刑後、いかにして「偉大な英雄」となったのか。膨大な一次史料を駆使して「英雄創出」の文法を読み解き、民衆文化の諧謔にみちた機制を析出する畢生の大作。

目次

ジョン・ロー―その財政・金融理論とロー=システム
カンカンポワ通り
ローの末路
カルトゥーシュ像
語られたカルトゥーシュ
カルトゥーシュ一味
犯行の内側
首領の犯罪
カルトゥーシュ逮捕の顛末
カルトゥーシュ裁判
カルトゥーシュの最期
英雄カルトゥーシュと民衆本
神話の遠近法もしくはカルトゥーシュ・パラドックス
おわりに―負性の英雄はいかにして歴史の表徴となるか

著者等紹介

蔵持不三也[クラモチフミヤ]
1946年栃木県生まれ。早稲田大学文学部卒業、パリ第4大学ソルボンヌ校修士課程修了、国立高等社会科学研究院(パリ)博士課程修了。早稲田大学人間科学学術院教授。博士(人間科学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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