出版社内容情報
ローマ帝国滅亡以来一世紀、混沌としたガリアの地に政治的統一をもたらしつつあったのはゲルマン人の一派、フランク人であった。この治安の悪い不安定な時代、おびただしい人物を登場させてこの自分の生きた社会を活写したのは、自らトゥールの司教としてフランク諸王からも一目おかれたグレゴリウスであった。読み物としての魅力を味わい尽す待望の新訳!
ローマ帝国滅亡以来一世紀、混沌としたガリアの地に政治的統一をもたらしつつあったのはゲルマン人の一派、フランク人であった。この治安の悪い不安定な時代、おびただしい人物を登場させてこの自分の生きた社会を活写したのは、自らトゥールの司教としてフランク諸王からも一目おかれたグレゴリウスであった。
その作品は中世から『フランク史』として親しまれ、現代においては、六世紀ガリアを、従って草創期のヨーロッパを知る、不可欠の書として知られる。
だがその高い名声はひとえにこの作品の、時代の雰囲気を漂わせる独特の戦慄に満ちた感性と、多様な登場人物たちの声を生き生きと伝える闊達な作者の筆の運びによる。本書は歴史資料の源泉として重要なだけではなく、読んで面白いからこそ尊重されてきた、優れた作品なのである。
しばしば歴史書などに引用される『フランク史』の独自の世界に魅せられた訳者は、時代が隔たってしまったために難解になった本作品を、なんとかしてその本来の面白さを損なわないまま、日本の読者に紹介できないかと考えた。
しかし、作者のスピード感に溢れた描写力、その力強い諸人物たちの会話のポイントを捉えた表現など、訳者は、読むほどに、この六世紀の大作家にただただ圧倒され、どこまでも彼について行くしか方法がなかった。
ラテン語の「」がまた「」であるように、西洋世界でも「歴史」はまず物語られるものであり、そのジャンルの読み物としても豊かな伝統を持っている。しかし日本人にとって、西洋中世は文芸の題材としてはまだ多分に未知の世界でもある。本書が、「ふつうに楽しく読める作品」として紹介されるならば、我々はいっそう良くヨーロッパを知ることになるのではないだろうか。(すぎもと・まさとし)
内容説明
ローマ帝国滅亡後、混沌と戦慄の六世紀ガリア。時代は一人のたぐいまれな史家を得た。人間のあらゆる営みを活写した「ヨーロッパのはじまり」の物語。
著者等紹介
トゥールのグレゴリウス[トゥールノグレゴリウス][Turonensis,Gregorius Episcopus]
538‐594。アルヴェルヌス(現在のクレルモン・フェラン)の名門の家に生まれた。12歳の頃から聖職者になるための勉教を始め、573年トゥールの司教になる。以来、死の直前まで自身の見聞および体験を書き綴り、『フランク史』の名で1400以上にわたって愛読されて来た
杉本正俊[スギモトマサトシ]
1949年岐阜市に生まれる。早稲田大学第一文学部を卒業後、同大学大学院で志波一富教授に現代ドイツ文学を学ぶ。この頃教室で読んだ作家(ハインツ・リッセ)の文章から、西洋におけるラテン語の重要性を教わり独学を始める。後に古典ギリシャ語を学び、先生に就いて1年に1巻のペースで『イリアス』を読む。イラク戦争開始の前年『フランク史』の翻訳をはじめ、その後『イリアス』講読を中断。複数の大学で初修のドイツ語を教える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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