出版社内容情報
サクセスストリーの舞台は、信州伊那谷にある人口三万五千人弱の田園工業都市、長野県駒ヶ根市。
今から一〇年少し前、日本中が円高、国際分業、国内空洞化などの言葉で溢れ返っていたとき、駒ヶ根市もその例外ではなく、地域に蔓延する危機感と閉塞感に苛まれていた。この駒ヶ根地域で、「自分が生まれ育った土地が寂れるのは哀しい」という長老の強い思いで始まった「企業ドメイン研究会」が、地元企業関係者有志の間で一〇年にわたって活動を続けている。
土地に根ざした持続的な企業活動のあり方を実践とともに考える「企業ドメイン研究会」。その基本理念は、「まずは元気な会社やお店がさらにがんばることで他の企業を牽引し、地域全体を元気よくする」というものである。しかし、それにはがんばる方向やがんばる土俵を決める必要がある。引き合いがあるからと、お客さんや取引先の言いなりになっていては、一見何でもこなせるようだが結局は何もできない企業となってしまう。
がんばる方向や深掘りする土俵を設定するのが、本書のキーワード、「ドメイン」である。ドメインとは事業領域、活動領域、生存領域の意。経営判断をし易くするにはドメインの「わかりやすさ」が、また日々変化するビジネスチャンスを敏感かつ柔軟にキャッチし新領域に挑戦していくにはドメインの「あいまいさ」が求められる。
本書は、この「わかりやすさ」と「あいまいさ」を同時に追求しうる〈ドメイン経営実践〉を合い言葉に、地元企業数十社と、これを支援する経営コンサルタントおよび駒ヶ根市スタッフとの一〇年にわたる先進的取り組みを紹介したものである。ここでは、エレクトロニクス関係、機械加工、生産設備・機械、木材加工、食品、旅館・ホテル・飲食店、印刷、物流、自動車販売・修理、書店、燃料店などさまざまな業種のドメイン経営事例が取り上げられている。
経営の方向感で悩んでいる普通の会社やお店の経営者、そして地域活性化に日夜取り組んでいる全国各地の行政関係者の方々に是非読んでいただきたい。(しおや・みち)
内容説明
「元気なまち」を我らの手で―長野県駒ヶ根市の挑戦。ビジネスの生存領域をあらわす「ドメイン」を軸に、地元企業43社、経営コンサルタント、市のスタッフが10年にわたり取り組みつづけてきた地域再生の記録。
目次
序章 「ドメイン」とは何か
第1章 経営におけるドメインの意義と効用
第2章 ドメイン検討の視点
第3章 テクノネット駒ヶ根の活動
第4章 自分たちの生い立ちと歴史に学ぶ
第5章 顧客評価をもとに事業の再定義
第6章 「やりたいこと」を軸に経営戦略とドメインの検討
第7章 地域社会との共存共鳴
終章 地域力とドメイン経営の共鳴
資料 駒ヶ根市のプロフィール
著者等紹介
塩谷未知[シオヤミチ]
1951年北海道大樹町に生まれ、栃木県那須烏山市で育つ。1976年北海道大学大学院農学研究科修士課程修了後、国際稲研究所、総合化学メーカーを経て、現在株式会社価値総合研究所取締役
小原昌美[コハラマサミ]
1969年長野県駒ヶ根市生まれ。1990年東京経済大学を卒業後駒ヶ根市役所入庁。企画財政課・教育委員会を経て、1997年以降、産業振興部商工観光課に5年間配属。その後、介護保険関連課を経て、現在再び商工観光課で「テクノネット駒ヶ根」の事務局を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。