出版社内容情報
「近代政治哲学」の源流をホッブズに読み取り、藤原政治学の近代批判の基盤をなす名著。
本書は今日なお、ホッブズの思想に関心をもつ者が最初に繙くべき、最も基本的な文献である。他のすべての研究と同じように、著者である藤原保信は、なによりもまず研究対象を正確に読みとり、その対象のなかに論理を探ることを本書でも目指している。ここでの対象は、ホッブズのテキスト全体であり、藤原は自然哲学、人間論、政治哲学の三部からなるホッブズの哲学体系そのものを主題化し、その構造のなかに近代政治哲学の成立とその意味を読みとろうとした。もちろんここにはホッブズ研究をめぐる方法論的論争がふまえられ、その後の藤原の近代批判へと向かう研究の基礎となるべく、その方法論の中に問題意識と価値意識が自覚されてゆく過程が内在されている。しかしそれは読者に押しつけられてはいない。そうであるがゆえに、本書はホッブズのテキストを読むための信頼できる導きであり続けている。
内容説明
17世紀自然科学の発展に多大な影響を受けて形成されたホッブズの思想。その核心をなす機械論的世界観の意味と「近代政治哲学」誕生の軌跡を、初期草稿から主要著作までを精緻に読み解くことで明らかにする。“ホッブズ研究の古典”の誉れ高い藤原保信の処女作。
目次
第1章 序論―政治哲学と自然哲学
第2章 哲学
第3章 自然
第4章 人間
第5章 自然状態
第6章 国家
第7章 宗教
第8章 結論―近代政治哲学の形成
付論 ホッブズの初期著作について
著者等紹介
藤原保信[フジハラヤスノブ]
1935年長野県生まれ。65年早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。元早稲田大学政治経済学部教授。政治学博士。政治思想史専攻。1969‐71年シカゴ大学、78‐79年オックスフォード大学に留学。日本政治学会、政治思想学会、日本イギリス哲学会などの理事を歴任。1994年没
佐藤正志[サトウセイシ]
1948年生まれ。早稲田大学政治経済学術院教授。西欧政治思想史専攻
的射場敬一[マトイバケイイチ]
1951年生まれ。国士舘大学政経学部教授。政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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