内容説明
日本酒が日本から消えていく―。地酒ブームで日本酒は長期低迷期から復活したようにみえるが、実は大多数の地方蔵は未だ苦境にある。地方の酒蔵、メーカー、酒販店、居酒屋を訪ね歩き、「うまい日本酒」に全霊を傾ける人々に出会う。そこで発見したのは、逆境の中にあって日本酒のレベルは未だかつてないほど向上しているという事実だった。うまい日本酒との出合い方のヒントが詰まった、酒を愛する人々に捧ぐ一冊。
目次
序章 日本酒が消える
第1章 地酒を醸す現場に行く
第2章 大メーカーという存在
第3章 酒を商う人たちの視線
第4章 うまい酒を呑ませる処
第5章 日本酒のゆくえ
著者等紹介
増田晶文[マスダマサフミ]
1960年、大阪府生まれ。同志社大学法学部卒。作家。過剰なまでの情熱に突き動かされる人間の描写に定評がある。1998年「果てなき渇望」でNumberスポーツノンフィクション新人賞、2000年「フィリピデスの懊悩」(『速すぎたランナー』に改題)で小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。著書に『果てなき渇望』(2000年Numberベストスポーツノンフィクション単行本部門第1位)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
73
一部の有名銘柄だけが持て囃される中で、実は多くの地方酒蔵は苦境にあり年々その数を減らしている。ここで紹介されている酒蔵は、名前を聴けばだれもが知っているような超メジャーな蔵ばかりではないが、酒作りにかける真面目な姿勢に感服した。評判に惑わされずに美味しい日本酒を楽しんでいきたいと思う。大手メーカーの大量生産銘柄も利点と業界に果たす役割がちゃんと評価されている点についても好感が持てた。とはいえ、やっぱり地酒がいいけどね。★★★+
ケー
19
本書の凄さは日本酒に関わる全てのタームを調べたことにある。地方酒蔵、大メーカー、酒販店、居酒屋。それだけでも読む価値あり。一昔前の粗雑な時期の影響でついた「日本酒=悪酔いする」というレッテルを剥がすの並大抵のことではない。当の自分も大学時代は飲むのはビールかカクテルで、日本酒は「キツイお酒」くらいの認識だった。認識が変わったのはホントに美味しいお酒を飲んだから。やはり、安かろう悪かろうだけじゃ衰退しかない。そこを脱却して質を高めるのが重要だと改めて感じた。ただ、焼酎をそんなに目の敵にしなくても‥‥(笑)2018/04/15
Yamato
3
日本酒に魅了された1人として、この本を読んでもっと多くの人に日本酒の良さを知って欲しい、共有したいと感じました。ちなみに、奈良萬というお酒が僕の『ただ早く酔っ払うだけの道具』という日本酒に対してのイメージを180℃変えたお酒です。奈良萬は飲み口がよく、まろやかで何ともほのかなメロンのような香りが印象的です。僕のようにいいイメージを持ってなかった人もまだまだ多いし、和食が注目されてる中、海外の人だけじゃなく、日本の人にこそもっと愛して欲しいなと思います。アル添が悪いわけではないと触れても良かったです。2014/03/04
rincororin09
3
和食が世界遺産になったが、世界にも例を観ない並行複発酵という複雑で繊細な工程で醸される日本酒の方を登録してほしかった。和食がブームになるのなら、日本酒もセットでブームになってほしい。業界の努力に期待したい。 最初は薀蓄本のつもりで買ったが、日本酒の現況を憂うる啓発の書である。日本酒のファンとして、もっと真剣にお酒に向き合わなければ・・・と思ってしまう本。しかし、そうやってしかめっ面して飲むのは、作者の意図するところではないと思う。愛情をもって楽しくおいしく飲みたい。2013/11/13
ピケ
3
現在、日本酒の品質は史上最高とのこと。でも市場的には衰退の一途を辿っている。日本においては殆どの分野にも同じことが言えそう。ただし、日本酒には工業製品とは違って日本の文化やオリジナリティが詰まっている。品質ももちろんのこと、たくさんのウリがある。日本酒業界にもイノベーションが起こり業界が盛り上がることに期待したい。って、最近日本酒に目覚めたから思うのです。2012/07/16