内容説明
「明治・大正・昭和」を読む。
目次
第1章 「元号」とは何か―問いと対象
第2章 「元号」と歴史意識―先行研究と方法
第3章 「昭和」―「昭和史論争」と「もはや「戦後」ではない」の同時代性
第4章 「大正」―「大正デモクラシー」と「戦後民主主義」の相似性
第5章 「明治」―「明治百年」と「戦後二〇年」の対称性
第6章 近代日本の歴史意識の解明に向けて―「戦後」という時代の区切りかた
著者等紹介
鈴木洋仁[スズキヒロヒト]
昭和55年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金を経て東京大学大学総合教育研究センター特任助教。専門は歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐藤丈宗
2
明治、大正、昭和…それぞれの元号に対して日本人が抱いているイメージはいかに作られてきたか。きわめて強烈な「戦後」という土壌の上に繰り広げられた三つのケース…「昭和史論争」「大正デモクラシー」「明治百年」を読み解いていく。元号から浮かび上がってくる「戦後」の姿を分析する過程はエキサイティングで面白い。元号とは単なる時代区分の看板でもなければ、ましてや日本的な伝統性(保守性)を表す記号でもないことがわかる。元号というものへの関心が高まる中でいい本が出た。2017/09/04
本命@ふまにたす
1
戦後日本の3つのケースから社会学的に「元号」の意味に迫る。社会学的な立場に立って議論するということは明確にされつつも、広く歴史学者や社会科学者の言説を取り上げており、興味深く読み進められた。2022/02/17
オオタコウイチロウ
1
“知識社会学”などいきっているが、ただの勉強不足でしかない。端的に言って、読んでいるものが恐ろしく少なく、且つ読みが浅い。「『昭和史』論争」や「明治百年祭」(竹内・桑原・遠山)の部分など、よくもまああの程度で論じようとしたものだと思った。所々文をなしていない著者の言葉使いや表現にその“理解”は表されているが、それらの制約から必然的にくる脱文脈化と脱歴史的な叙述について、さすがに驚ろかざるを得なかった。博論の書籍化だが、上の状況を鑑みたとき、“知識社会学”が罵られたところで、責任は著者自身にあると思う。2018/03/01
CJ
0
日本人の時代認識を、元号と西暦と「戦後」の関係から論じた一冊。「大正デモクラシー」は提唱者はネガティブな意味で使っていたこと、明治が戦後の原型としてイメージ形成される過程、「戦後」という区分が元号の認識へ及ぼす強い影響について等、示唆に富んだ内容だった。2017/10/17