出版社内容情報
シアラン・ファーヘイ[シアランファーヘイ]
内容説明
半壊した娯楽の宮殿、停止した工場、崩れかかった病院、無人の軍事施設…。廃墟に魅入られたジャーナリストが、ベルリンの様々な場所に点在する廃墟をめぐり、それらにまつわる歴史を紐解く。過去と現在のはざまに浮かんだ、神秘的な世界の面影がいま私たちの目の前に現れる。
目次
解剖学研究所
グリューナウ社交場
ベーレンクヴェル・ブルワリー
ベーリッツ療養所
ルーダースドルフ化学工場
製氷工場
エリザベト療養所
グリューナウ放送局
ガルバーティタバコ製作所
グラボージー療養所〔ほか〕
著者等紹介
ファーヘイ,キアラン[ファーヘイ,キアラン] [Fahey,Ciar´an]
アイルランド出身のジャーナリスト。2008年にベルリンに移住してから、ドイツの首都にちらばる廃墟―見捨てられた場所―に魅了されてきた。それらを撮影した写真とレポートをブログ「ABANDONED BERLIN」にアップし続けている。このサイトはイギリスのガーディアン紙の「世界で最も素晴らしいシティブログ」にドイツからは唯一選ばれている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ののまる
8
すごいなあ。ナチス時代やらソ連時代のためのガッツリ建物が軒並みあって、さすが堅牢な石造りレンガ造りだけあって、廃墟でも堅牢。統一ドイツになったとたん用済みになったものたち。シェルターの規模すごい。冷戦最前線だし。Uボート司令基地とか、曰く付きの病院関係施設など。ロケ地になってるものもあり。いくつかは更地になってマンションとかになるのだそうで、貴重な記録。2022/09/21
Wisteria
6
とっくに役目を終えて、こんな打ち捨てられた姿を晒しても、かつては輝いていたであろう時代を感じさせる存在感。ベルリンの複雑な歴史の時間を生きただけあって穏やかでない背景を持つものが多い。現役だった頃を偲び想像すると不思議な気持ちになる。2018/01/03
minamimi
5
文章が所々ロマンチック(部外者が感じそうな)でいただけないようなところもあるけれど、廃墟になった経緯が分かるのは有り難い。ナチス、ソビエトの支配が色濃く残る廃墟の数々。東独が崩壊してからのあっという間の変化は、当事者たちはついて行けないし受け入れ難かったのではないか。いや、それを感じるのは数年が経ってからか。2021/09/27
あまね
4
廃虚の写真は、どこももの哀しさと陰鬱さ、そして少しの滑稽さを持っている。このベルリンという特異な町の廃虚群は、それらに加えてなんとも言えない居心地の悪さを感じる。それは、あの悪夢の時代の化学工場の跡だからか? それとも今はない国の置き土産のシェルターだからか…。だが、ミュージックホールや遊園地といった楽しい思い出が詰まった場所にも居心地の悪さはつきまとう。21世紀の現在、今なおこれだけの"前世紀"の遺物(中には19世紀のものも!)が打ち捨てられ、骸を晒していることに驚く。2017/04/05
Koki Miyachi
3
廃墟は、写真の永遠の撮影モチーフ。ナチス、東西分割、冷戦という時代のうねりに翻弄された都市ベルリン。歴史の痕跡が色濃く写真に定着された。建物の一つ一つに丁寧な解説が付されていて、写真を眺めながら思いを馳せる。2021/11/18