内容説明
「計算」や「論理」がいかにして現実を変革するのか?ヒルベルト、ゲーデル、チューリング、ゲンツェンら天才たちの挑戦は、いまコンピュータ科学を経由して、世界に大転換をもたらしつつある。「不完全性定理」「P対NP問題」などの論争の歴史を最新アップデートし、「人工知能」の未来にまで架橋する数理論理学の決定版!
目次
1 数学者を作ろう(数学者とは何か;人工言語を画定する ほか)
2 対角線上に追い詰めろ(対角線論法とは何か;言語の限界 ほか)
3 計算よ停まれ!(数列の生成と停止;全員整列! ほか)
4 NPの壁(しらみつぶしと数学知性;P・NPとは何か ほか)
5 活き活きした証明(ラムダ計算;証明はプログラムである ほか)
6 対角線方向にむかう未来
著者等紹介
照井一成[テルイカズシゲ]
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科修了。国立情報学研究所助手・助教授などを経て、京都大学数理解析研究所准教授。専門は数理論理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
月をみるもの
14
つい最近、人間知性のひとつの極とされている囲碁で、計算機が人を打ち負かした。人類最強(セドル)はショックで引退してしまったが、それ以外の多くの棋士たちは計算機とともにその先をみようとしている。数学も同じように、やがては機械と人間の共同作業になるだろうというのが著者の予測。まずは証明支援から、やがては証明自体を? 本書の主人公のひとりであるゲンツェンは、ナチに入党したあと V2にも関わっていたとある。伝記よみたい。。https://en.wikipedia.org/wiki/Gerhard_Gentzen2020/03/29
Tsukasa Fukunaga
4
数学基礎論とプログラム理論に関する「物語」について書かれた本。内容としては、不完全性定理やNP完全といった「数学や計算の限界」を示す話と、無矛盾性証明や定理の自動証明といった「数学や計算の可能性」の対比についての話が描かれている。教科書ではないので数学的な厳密性は薄く、例え話も多いので学問のとっかかりとして良い本だと思う。まぁ、内容が内容だけにスラスラ読めるほど簡単な話ではないが。2016/03/15
滑車
3
数学基礎論と計算機科学のトピックあれこれについての見通しを与えてくれる、よいガイドブックだと思った。教科書で勉強してるだけでは抜け落ちてしまいがちな背景知識を補う意味でも、興味ある題材の紹介を通して勉強のモチベーションにする意味でも有用。正直、この分野がこれだけの広がりと一貫性をもつものだとは予想していなかった。ものをわかっている人が気軽にスケッチした説明を聞くのは楽しい。2018/06/20
Mark.jr
2
<「コンピューターは数学者になれるのか?」本書はこの問いに答えるのではなく、この問いを中心に据えることで、数学基礎論とそこから派生したコンピュータ科学を貫く物語を書きたい...。>この著者の言葉通り、本書は数字と記号だけで証明を成立させる数字基礎論から、コンピューターのプログラミングへと変化する流れのようなものが展望できる本になっています。かなり具体的な計算・理論も書かれており、私のような物見遊山のライトな読者への読み物から、本気で数字基礎論を勉強しようとする人への入り口にも適しておます。2021/03/09
乱読MAN
2
GWに読み切れなかった。素晴らしい名著だった。証明の雰囲気を掴みながら、いろんな分野の話を読めるので楽しい。 5章まだ訳わからんところあるが、次にこの周辺読むとしたら計算複雑性の話かなぁ。2018/06/03