内容説明
スリリングにして極上、身近だけど奥深い、科学の世界へようこそ。物理学者の散歩道、そこには、普段わたしたちが見ている世界とはまったく違った光景が広がっていた。スマートフォンの画面に、現代アートの最前線に、遠くの場所の天気予報に、そして誰もが知っている歴史のなかに「科学」は存在している。知的冒険心に満ちた極上のポピュラーサイエンス。
目次
第1部(言論力の黄昏か;災害実感力の喪失;スマホに決めさせよう;量子「スーパーポジション」;数字は使い方次第 ほか)
第2部(地球にもっと物理を―理論物理学者が大気の視環境や雲を勉強して感じたこと;ノーベル賞科学者を輩出する京都大学;科学と民主主義)
著者等紹介
佐藤文隆[サトウフミタカ]
1938年山形県鮎貝村(現白鷹町)生まれ。60年京都大学理学部卒。京都大学基礎物理学研究所長、京都大学理学部長、日本物理学会会長、日本学術会議会員、湯川記念財団理事長などを歴任。1973年にブラックホールの解明につながるアインシュタイン方程式におけるトミマツ・サトウ解を発見し、仁科記念賞受賞。1999年に紫綬褒章、2013年に瑞宝中綬章を受けた。京都大学名誉教授、元甲南大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
35
言論の力が効果的に効くように人間を教育によって改造していくのか、人間の実態に応じた文化を創造していくべきなのか、という学問をめぐる古くからの難題(23頁)。大量の退職者と非正規雇用者の増大は、地域、職域にも実感の伴う生活圏の完全喪失を起している(34頁)。坂田昌一は京大で湯川秀樹の最初の学生だった(71頁)。大森貝塚を発見したモースはアガシーの弟子で、Study Nature, Not Book(115頁)。いや、本と同時に、だろう。文化を脱世間の消費行動でよしとするかは、2016/06/14
おおにし
17
湯川秀樹はなかなかの仕掛け人だったようだ。1953年京大にできた基礎物理学研究所の所長になった湯川はその年に国際理論物理学会を誘致しいち早く戦後日本の物理学の国際化を図った。また、湯川が英語の論文誌「プログレス」を創刊したのは終戦の翌年だった。このプログレスに朝永振一郎の論文が載ったことが後のノーベル賞受賞につながったという。著者本人も「ユカワの学生です」という自己紹介が海外では効果絶大だったと語っている。湯川博士の偉大さを再認識した。2015/04/25
ケニオミ
10
タイトルから「科学者は一般人とは異なる視点から物事を見ている」という連想が働きますが、むしろ一科学者によるエッセイだと言った方がよい思います。筆者は著名な物理学者ですが、15章ある本書の最後の3章を除けば、物理学を含む、興味深い歴史のお話が多かったです。(特にフランスとイギリスにまつわる度量衡と緯度経度の話)また、京都大学からノーベル賞受賞者が数多く輩出されている理由にも納得しました。(東大との創立時期の差異が大きく作用したみたいですね。)あまり期待せず読み始めましたが、儲けたような気分になる本でした。2015/01/02
塩崎ツトム
4
湯川秀樹の弟子で、京都大学名誉教授が、2014年を振り返る。その人物が優れた科学者であるかどうかは、その人のエッセイを読めばわかるのかもしれない。2015/01/06
なかつ
3
現代思想に掲載されたエッセイなどを集めた、科学者が思うことの本。科学論の話がとても面白い。大好きな池田亮司も出てきた! このかたの他の本もよみたい。2014/12/24