出版社内容情報
アンゼルム・キーファーの「七つの塔」をめぐる思索は、そのまま現代芸術・思想の最先端の視座となる。
内容説明
錯綜する現代が多面体なのか。虚無の未来を感知する特異の想像力が多面的なのか―。その際立った美意識・思想によって熱烈な支持を得る美術家、カメラマン、建築家たちは、臨界点にある今日の欲望とメランコリーの気分とが充満する世界を、如何に表象したのか。二〇世紀芸術の核心に迫る。
目次
キーファーの七つの塔―「天の王宮」(ピコッカの塔;コンクリート ほか)
マリオ・ジャコメッリの詩的世界(母なるセニガリア;二つの世界 ほか)
アヴェドンの肖像―ニューヨークのスノビスム(昔、奴隷であった男;殺人者の顔 ほか)
波を上手に捉えるサーファー―レム・コールハースの疾走(マンハッタニズム;ビッグネス ほか)
著者等紹介
多木浩二[タキコウジ]
1928年生まれ。東京大学文学部美学科卒業。元千葉大学教授。専攻は、芸術学・哲学。建築・現代美術・舞台芸術などの批評活動を行ないつつ、一八世紀末から現代の政治、社会、芸術などの相関を通じて歴史哲学への問いに関心を集中している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Koki Miyachi
8
ひさびさの多木浩二。2006年度に神戸芸術工科大学における連続講義をもとに一冊に纏めたもの。その成り立ちのせいか、語り調で分かり易い。キーファー、マリオ・ジャコメッリ、アヴェドン、レム・コールハースと題材もクールだ。気になるクリエーターを、評論の名手の文章を通してレビューするのはとても刺激的。4人の足跡を今一度振り返ってみたくなった。2015/02/08
tamaph
2
現代美術家、写真家×2、建築家。これらを全てひとりで、しかも各分野の専門的深度をふまえて語れるのは多木さんくらいだろう。神戸芸科大での授業を元にしたというが、こんなすごい授業、先生毎回本気すぎだし、学生さん羨ましすぎ。2017/01/18