内容説明
爛熟した消費社会の申し子たる『オタク』という特異な主体の在り様をめぐって、東浩紀と各界の最強の論者が繰り広げる言論のバトルロイヤル。ネット∴ライヴ∴書籍とメディアを横断して展開された妄想と闘争の記録。
目次
網状言論F・プレゼンテーション(動物化するオタク系文化(東浩紀)
セクシュアリティの変容(永山薫)
「萌え」の象徴的身分(斎藤環)
Pity,Sympathy,and People discussing Me(伊藤剛)
オタク第一世代の自己分析 あくまで個人的立場から(竹熊健太郎)
おたクィーンはおたクィアの夢を見たワ。(小谷真理))
網状言論F改・鼎談(ポストモダン・オタク・セクシュアリティ(東浩紀×斎藤環×小谷真理))
網状言論F改・後記(網状の言論を解きほぐしていくこと(伊藤剛)
越境する蜜蜂(永山薫))
著者等紹介
東浩紀[アズマヒロキ]
1971年生まれ。批評家、哲学研究者。主な著書に『存在論的、郵便的』(新潮社、サントリー学芸賞)など
永山薫[ナガヤマカオル]
1954年生まれ。漫画評論家、作家、編集者
斎藤環[サイトウタマキ]
1961年生まれ。医学博士
伊藤剛[イトウゴウ]
1967年生まれ。マンガ評論家、鉱物愛好家。『COCO』(エンターブレイン)の編集に参加
竹熊健太郎[タケクマケンタロウ]
1960年生まれ。編集家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヤギ郎
10
斎藤環『戦闘美少女の精神分析』から東浩紀『動物化するポストモダン』を橋渡しする対談と論文集。対談はもっぱら斎藤対東で展開されているけれど、その間に小谷真理がするどい指摘をしていて読んでいて楽しい。2000年代へ入った頃の論壇の雰囲気がが味わえる。『戦闘美少女の精神分析』と『動物化するポストモダン』を読み解く手がかりになる一冊。2019/11/02
阿部義彦
10
東浩紀の編んだポストモダン、オタク、セクシュアリティに関するディスカッシヨン。永山薫、斉藤環、伊藤剛、竹熊健太郎、小谷真理など。やはりアニメは苦手なので理解不能の話題があって良く理解出来た自信なし。唯一ヘンリー・ダーガの話だけついて行けて考える事多かった。このへんは自分的には分からなくていいや!と割り切る事にします。2016/06/01
Sakana
7
パラパラ読めばいいワと思い、息抜きのために開いたのだが、思いの外おもしろく、ページを捲る指がとまらなかった。私は、近年のサブカルチャー・ムーヴメントに関心があるのだけれど、それを知るためには、それの根源というべきオタク論議を読み解く必要がある。私が興味があるのは、その「オタク」をめぐる抑圧の構図…つまり、ワンピースやナルトが好きだと公言する人が、それと同時に「オタクってどうよ」というような態度がとれてしまう社会の構図が、とても抑圧的に読めてしまうからだ。私はこういうのが大好きなのね。ホント、脱構築したい。2015/06/13
袖崎いたる
4
東浩紀の「動物」が深まる。斎藤環との掛け合いが面白い。小谷真理という人はフェミ特有の鋭利な感じがして、それは主に東さん向かうんだけど、斎藤さんの「精神分析」よりも、なんというかキワドイ。クローゼットを開けさせ(ようとす?)る言説というか。精神分析はその点倫理を感じる。鼎談のときの東浩紀と斎藤環のラカン理論をめぐる議論は楽しかった。OSとPSならOSの側に動物の問題意識はあるんだ、ってね。2022/11/26
PukaPuka
2
伊藤と永山による後記が、一番腑に落ちた。読んだかいあり。2020/06/07