内容説明
韓国の男子高校の、30代男性教師による、生きるための「男フェミ」宣言。
目次
プロローグ 男がフェミニストだって?
1章 母と息子
2章 フェミニズムを学ぶ男
3章 先生、もしかして週末に江南駅に行ってきたんですか?
4章 八〇〇人の男子生徒とともに
5章 ヘイトと戦う方法
エピローグ 共に地獄を生き抜くために
著者等紹介
チェスンボム[チェスンボム]
1984年生まれ。韓国北東部・江陵市の明倫高等学校教師。学生の頃は学校が嫌いだったが、なぜか先生になり、すでに11年目。大学では文学と哲学を専攻し、社会科学にも強い関心を寄せた。運よく強い女性たちに囲まれた環境におかれ、フェミニズムを学ぶことができた。現在男子高校で国語を教えている
金みんじょん[キムミンジョン]
翻訳者、エッセイスト、韓国語講師。慶應義塾大学総合政策学部卒業。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士課程単位取得退学。日本語への訳書は『私は男でフェミニストです』が初。KBS(韓国放送公社)の通信員として、また『京郷新聞』への連載を通して、日本の情報を韓国に発信中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とよぽん
49
韓国の国語教師チェ・スンボムさんが、韓国社会の男女不平等について考察し、行動したことを書いている。まず、男性のフェミニストが名乗りを上げて社会の悪弊を変えていこうと訴えていることに驚いた。しかも、韓国のことでありながら、まさに日本でも同様のことがあると思う点が多かった。著者は自分が生まれ育ってきた家庭で、愛慕する母親が一人の人間としての人生を生きることができていないことに心を痛める。そこが彼のフェミニストへの第一歩だった。彼の主張は、男性が変わらなければならない、ということ。上野千鶴子さんの解説つき。2022/11/27
katoyann
30
韓国の高校教師が書いたフェミニズムのエッセイ。フェミニズム・リブートに呼応するように、マンスプレイニングに陥る危険性を警戒しながら、男性としてフェミニズムを支持する思いを綴っている。性別賃金格差が大きく、女性が暴力被害に遭いやすい社会に対し、疑義を呈する内容である。 韓国におけるルッキズムもセクシュアルハラスメントもDVも日本と構造が似ているので分かりやすい。女性が被害を告発したら論点をすり替えて「男性差別」を訴える男性が多いという話は日本とそっくり。徴兵制があるのでやや異なるところもあるが、面白かった。2022/01/23
羽
27
著者「女性でもないのに、なんでフェミニズムを」 後輩「男だからよくわからないんです、学ばないと」。著者と、フェミニズムを学ぶ後輩との会話だ。その返答は、著者を目覚めさせた。自分も学ばなければならない、と思った。女性の問題は、男性の意識を変えないと変わらない。 男性の言うことにしか耳を貸そうとしない人も、世の中にはいる。わたしはフェミニストではない。だけど、わたしみたいなフェミニストでもなんでもない女性たちが読むと、世界がひっくり返るような本である。少なくとも、価値観は大きくゆさぶられる。2022/02/23
さく
22
表紙の絵はとぼけた感じだけど、ちゃんとしたフェミニズムの本だった。ただ、注釈が多くて読みにくい。韓国での男女間の格差は大きいなぁと思って読み進めるが、実は日本の方がジェンダーギャップ指数は低いと知り驚く。フェミニズムは、女性だけが主張していてもだめなんだ。男性が、変わらないと。だから、男のフェミニストには意味がある。男は女の意見は聞かなくても、男の意見なら耳を傾けるのだから。私自身は、女性だから損だとかは思ったことはないけれど、最近の女子トイレのニュースを見ると、それはちょっとおかしいのでは、と思う。2023/03/26
ruki5894
16
悲しい。人間は残酷な生き物だ。自分もそうなのだろう。深く刻み込まられ染み込んだ意識は、なかなか変わらない。つい、心を閉ざしてしまう。誰とも関わりたくない。無関心が罪であることもわかっているつもりでいるが、できればなるべく他人と関わらずに人生を終えたい。悲しい人生だな。2022/05/08