内容説明
本書の目的は疎外論超克説を反駁することである。この説を批判するのは、明らかな謬説であるにもかかわらず、マルクス解釈の世界において、なかんずくわが国において、根強い影響力を保っているからである。本書はこの説を批判することを通して、マルクスにおける疎外論の発展という観点を提示しようと試みる。
目次
序章 『経済学・哲学草稿』と疎外論の運命
第1章 マルクス最初の疎外概念―「父への手紙」と『学位論文』
第2章 対象化と疎外の区別
第3章 疎外と私的所有の因果関係
第4章 『経済学・哲学草稿』と『ドイツ・イデオロギー』の分業概念の差違
第5章 『ドイツ・イデオロギー』の疎外論
第6章 エンゲルスと『ドイツ・イデオロギー』
第7章 『共産党宣言』の真正社会主義批判
第8章 エンゲルスと疎外論の変質
第9章 「物象化」論の虚妄性
著者等紹介
田上孝一[タガミコウイチ]
1967年東京下町に生まれる。1989年法政大学文学部卒業。1994年立正大学大学院文学研究科修了。1994年法政大学第二教養部講師。現在立正大学文学部講師。専攻哲学・倫理学
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