内容説明
漱石文学の「謎」を解く。幼少時から歌舞伎、謡曲(謡)などの口承文芸に触れて育った漱石。彼の小説のヒロインには、謡曲「葵上」、安珍・清姫の道成寺もの、水死する処女の伝承などが響き合う。さらに『坊っちゃん』と「船弁慶」の類似、『こころ』の夢幻能的構造の指摘など、口承的な古典の視点から斬新な読みを展開する。漱石生誕150年に贈る力作。
目次
第1部 漱石のヒロインたち(『虞美人草』の「紫の女」;『行人』のお直をめぐって;『それから』の三千代―百合の表象;『三四郎』の美禰子をめぐって)
第2部 漱石文学と古典(漱石と『方丈記』;『門』の美的世界;「坊っちゃん」という謎―『坊っちゃん』と義経伝説)
第3部 『こころ』をめぐって(『こころ』に描かれた「時」;「私」との対話)
著者等紹介
増田裕美子[マスダユミコ]
神奈川県横浜市生まれ。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化専門課程博士課程単位取得満期退学。現在、二松学舎大学文学部教授。専門は比較文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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