内容説明
心身問題をはじめとする心の哲学の主要な論争やさまざまな思想的立場を、初学者に向けて解説。脳科学・心理学・人工知能・精神医学など、近年進展めざましい心の科学の基礎を問う。
目次
第1部 心身問題(二元論―現代では何が問われているのか;還元主義―心的性質と物的性質は同一なのか;観念論―物的世界は心と独立に存在するのか ほか)
第2部 志向性・意識・自我(志向性と表象―志向性は表象的特性と同一なのか;志向的姿勢―志向的な概念はなぜ行動の予測に有用か;心的内容―心の内容は内的状態により決まるのか ほか)
第3部 心の科学と哲学(他者理解―他者の心はどのように理解されるか;自己知―自分の心は特別な仕方で知られるのか;心の理論と自閉症―心の理論は自閉症を説明できるのか ほか)
著者等紹介
信原幸弘[ノブハラユキヒロ]
東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は心の哲学、科学哲学、分析哲学。現在の研究テーマは、道徳の自然化、道徳判断・行為の神経哲学、意思決定の神経哲学など。著訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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禿童子
29
総勢23人の執筆者が分担して53の項目を執筆しているので、さながら幕の内弁当かフルコースの料理を堪能した気分になれる。人工知能の実用化が進み、脳科学の進展により素朴心理学が一掃される可能性も現実味を帯びる時代に、サイエンスの知見を取り込んだ「心の哲学」の再構築に期待がかかる。それにしては「心身問題」の議論が一向に収束しないのがもどかしい。意識とクオリアに対する脳科学のアプローチも決着にはほど遠い。後の項目の「精神疾患」「妄想」「自己欺瞞」「依存症」こそ、心の研究を実践に生かす本来のターゲットだと思う。2019/05/29
eirianda
7
わたしの知っている心理学などこの中の一片に過ぎない。心理学と脳科学が今後交わり、新たな救いになることを願う。2021/05/04
izw
4
チャーマーズやデネットの本を読んでいたが、そもそも「心の哲学」全般についての概観が分かっている必要があるかとおもい、ワードマップとして数多くの著者たちがそれぞれ開設している本を読んでみることにした。著者のよって書き方やスタンスが異なり、同じ概念について、複数の項目で、異なる観点から解説されているので、混乱気味になりながらも、何とか読み通してみた。中で紹介されていた入門書を含み何冊かの著作も読んでみた。これからも辞書的に繙くことになるだろう。2019/10/06
Go_with_twill
2
これまでの心理学、精神医学的な歴史背景のレビュー、と言った内容に思えました。こんな変遷があったってことを知るには良かったけど、いかんせん一冊に詰まってる情報が多すぎます。。2017/10/31
トリスタン
1
心の哲学に関しては権威筋との一人といってもよい信原幸弘が編集したワードマップ「心の哲学」。50項目を上回る関連概念について数ページで要領よく問題点がまとめられている。ただしまとめ切れないものも多く、問題点を提起するに留まっているところも多い。さらに項目ごとの筆者が違うために、重複するところも多々あるようだ。ただしそれはこうした形式の小項目主義によって生まれるやむを得ない欠点だろう。心の哲学の主要な問題について簡単な概観が提供されるのはうれしいことだ。項目ごとに示されている参考文献も豊富で役に立ちそうだ。2020/01/26