出版社内容情報
◆大和魂は何に宿るのか
「日本人は勤勉で器用で献身的で……」などと国民性を強調する本や番組が増えています。とりわけ精神面を賛美する概念が「大和魂」でしょう。この言葉はときにナショナリズム批判の観点から否定されますが、モノやヒトをもって例示され、それが快楽として受容されることで広がりを持ったという歴史は無視できません。単純な否定ではなく、明治から現代までの偉人イメージ、展覧会、史跡、イベント、映画といった具体的な現れをつぶさに見ることで、国民精神がいかに語られ、提示され、そして楽しまれてきたかを追います。政治的立場にかかわらず重要となる、国民アイデンティティの再考の試みです。
展示される大和魂 目次
はじめに
第一章 大和魂の近代性と言語
一 大和魂とは何ぞや
二 明治時代における「新」大和魂
三 自然・特性としての大和魂
四 渦巻く概念たち
五 戦争と大和魂
第二章 受肉する大和魂
一 偉人たちの近代
二 大和魂の権化―楠木正成
三 日本精神の体現者たち
第三章 国民精神の物質・視覚性
一 展示される大和魂と日本精神
二 大和魂の物質的土台
第四章 快楽としての大和魂
一 大和魂と体験
二 消費・地域・大和魂
三 大和魂の身体
第五章 大和魂の現代性
一 第一の戦後から第二の戦後まで
二 第三の戦後における大和魂
三 大和魂の物質性
四 人間あらざるものと日本的なるものの現在
おわりに
参考文献
装幀―はんぺんデザイン 吉名 昌
内容説明
“国民精神”をめぐる偉人イメージ、展覧会、史跡、イベント、映画を追い、言葉・物質・快楽の側面から、ナショナル・アイデンティティを支える国民性の幻想が立ち上げられていく過程をつまびらかにする。
目次
第1章 大和魂の近代性と言語(大和魂とは何ぞや;明治時代における「新」大和魂;自然・特性としての大和魂;渦巻く概念たち;戦争と大和魂)
第2章 受肉する大和魂(偉人たちの近代;大和魂の権化―楠木正成;日本精神の体現者たち)
第3章 国民精神の物質・視覚性(展示される大和魂と日本精神;大和魂の物質的土台)
第4章 快楽としての大和魂(大和魂と体験;消費・地域・大和魂;大和魂の身体)
第5章 大和魂の現代性(第一の戦後から第二の戦後まで;第三の戦後における大和魂;大和魂の物質性;人間あらざるものと日本的なるものの現在)
著者等紹介
森正人[モリマサト]
1975年生まれ。関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(地理学)。現在、三重大学人文学部准教授。専門分野は、文化地理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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