出版社内容情報
倉田 剛[クラタ ツヨシ]
内容説明
論理学を武器としてきわめて明晰な議論へと新生した存在論―その最先端まで学生と教員の対話を織り交ぜた解説で導く本格入門書。存在論の方法、カテゴリーの体系、性質について初歩から詳論する。
目次
第1講義 イントロダクション―存在論とは何か(何が存在するのか;存在論の諸区分)
第2講義 方法論あるいはメタ存在論について(存在論的コミットメントとその周辺;理論的美徳―「適切な存在論」の基準について ほか)
第3講義 カテゴリーの体系―形式的因子と形式的関係(カテゴリーと形式的因子;形式的関係)
第4講義 性質に関する実在論(ものが性質をもつということ;実在論の擁護 ほか)
第5講義 唯名論への応答(クラス唯名論;類似性唯名論 ほか)
著者等紹介
倉田剛[クラタツヨシ]
1970年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。パリ大学第12校DEA課程を経て、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在は九州大学大学院人文科学研究院准教授。専門はオーストリア哲学、分析形而上学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あ
5
クワインの存在論的コミットメントの解説が表面的すぎて不安になってしまうが、それ以外の箇所ではコンパクトに纏めつつ充実した議論を展開している。もっと分厚くして本格的な水準まで連れて行って欲しくなる。著者はトリヴィアルな議論に陥らないように十分配慮しているが、それでもたまに英米系の悪いとこが出ている気はする。分析哲学を初めて齧るような人が読むとくだらない言語分析をこねくり回しているようにしか見えないんじゃないか。存在論と言語論が結びつく感覚をしっかり持っていないと消化不良に終わると思います。2022/01/18
センケイ (線形)
4
完全に面白くて新しい沼にハマった。存在論とは語感に反して物の分類を扱う分野らしいのだが機械学習をするならこの議論を踏まえない手はない。人はモノをどう分類するのか?すべきなのか?その根拠は、正当性は何なのか。ぼんやり考えていたような気もするけれども言われてみれば新鮮な疑問ばかりなのだ。また、集合と具体例といった切り口を見せられると今度はプログラミングとの関連が気になってここでも新しい興味が止まらない。最初に断られているように片方の流派に寄ってはいるが、図示も分かりやすくうってつけの入門書と言えるか。2018/08/29
まあい
4
現代存在論の基礎的な概念や議論を、講義形式で説明していく入門書。「存在論」と言われるとハイデガーのような「文芸的」な哲学を思い浮かべる人が多いかもしれないが、本書で扱う存在論は、論理学の手法を用いた明晰な議論である。高校倫理で習うような「哲学」とは異なる、現代的でロジカルな議論を学ぶことができる。イントロダクションに出てきた応用存在論(オントロジー)に興味が湧いた。2017/07/30
ミッツデラックス
3
再読。存在論について初心者でも学べる入門書。普遍論争に興味をもって読んだ。実在論寄りと筆者は自分の立場を明確にした上で話は進んでいくが、唯名論の強みもしっかり説明してくれる。読者案内も充実しているので、次はそちらをあたりたい。2018/05/25
チルいのが好き
2
理解できてほっとしてるし、存在論やってる会場に潜入できてうれしかった。僕でも入れてもらえる入口あったんだ。 「パラフレーズ」「モメント」とか「大文字の」「二階の」みたいな用語も掴めたぞ。2019/01/06