出版社内容情報
◆シリーズ全9巻完結!
人は社会の中で生かされており、それを担う脳もまた社会的存在です。自己や他者を結ぶ社会意識が脳内でどのように表現されているのかを探る「社会脳」の研究が、いまどのような成果をあげつつあるかを広く社会に伝える使命をもって刊行が開始された「社会脳シリーズ」も、本巻をもって完結です。最終巻の第9巻はロボットと脳という、現代科学の最先端が交差する領域を取り上げます。ペットロボットや掃除ロボット、介護ロボットなど、いよいよロボットが日常生活にも現れてきました。人間科学と工学技術はいかなる未来を展望するのか──本書はまたとない案内となるでしょう。
ロボットと共生する社会脳 目次
「社会脳シリーズ」刊行にあたって
社会脳シリーズ9『ロボットと共生する社会脳─神経社会ロボット学』への序
1 心の理論をもつ社会ロボット─ロボットの「他者性」をめぐって苧阪直行
はじめに
ロボットの他者性
心に近づくAI
心の志向性
心の理論
他者の心をリカーシブに見る
志向性のレベル
ロボットと心の理論
共同志向性
セラピーロボット
介護ロボット
ジャンケンロボット
IoT(モノのインターネット)
各章の概要
おわりに
2 ロボット演劇が魅せるもの坊農真弓・石黒浩
「共生しつつある」というフレーズ
ロボット演劇の創りかた
フィールドワーク1─演出に隠された社会的ロボット像
フィールドワーク2─役者が創り出す社会的ロボット像
ロボット演劇が〈見せる=魅せる〉もの
3 人工共感の発達に向けて浅田 稔
はじめに
共感の進化と発達
人工共感に向けた二つの主要な発達
ADR/CDRによる人工共感への試み
討 論
4 ロボットに「人らしさ」を感じる人々神田崇行
はじめに
社会的ロボット─人ではないのに、人らしく振る舞うロボット
「人らしい」ロボットは何をもたらすか?
人々と「人らしい」ロボットとの関係
おわりに
5 遠隔操作アンドロイドを通じて感じる他者の存在西尾修一
はじめに
遠隔操作ロボット・メディア「テレノイド」
テレノイドの受容性
認知症高齢者のコミュニケーション支援
抱擁の効果
おわりに─遠隔操作アンドロイドを通じて感じる他者の存在
6 アンドロイドへの身体感覚転移とニューロフィードバック西尾修一
はじめに
遠隔操作型アンドロイドと身体感覚転移
対話による身体感覚転移
脳波による遠隔操作─固有感覚の影響の排除
操作者の脳活動への影響
おわりに
7 感覚・運動情報の予測学習に基づく社会的認知機能の発達長井志江
はじめに
社会的認知発達の基盤としての感覚・運動情報の予測学習
自他認知の発達とそれを通したミラーニューロンの創発
物体操作能力の発達における目標指向性の発現
社会的信号の予測学習を通した共同注意の発達
予測誤差への特異な感度が引き起こす自閉スペクトラム症
おわりに
8 人間とロボットの間の注意と選好性吉川雄一郎
はじめに
代理的な注意の提示
誘発された注意
観察された注意
まとめ
9 ブレイン・マシン・インタフェース─QOLの回復を目指して平田雅之
はじめに
BMIに用いられる脳信号
脳信号の解読
ロボットアームのリアルタイム制御
ワイヤレス埋込装置
BMIに関するアンケート調査
肉体的QOLと精神的QOLの解離
BMIで目指すところ
おわりに
引用文献
社会脳シリーズ1~9巻総事項索引
社会脳シリーズ1~9巻総人名索引
装丁=虎尾 隆
内容説明
人工知能は心の理論をもつロボットを可能にするか?ペットロボット、掃除ロボットや介護ロボットなど、社会ロボットとの共生が近未来社会に革命を起こしつつある。ロボットを通して人間とは何かを再考し、認知ロボット学と社会脳科学を結ぶ最前線を紹介!
目次
1 心の理論をもつ社会ロボット―ロボットの「他者性」をめぐって
2 ロボット演劇が魅せるもの
3 人工共感の発達に向けて
4 ロボットに「人らしさ」を感じる人々
5 遠隔操作アンドロイドを通じて感じる他者の存在
6 アンドロイドへの身体感覚転移とニューロフィードバック
7 感覚・運動情報の予測学習に基づく社会的認知機能の発達
8 人間とロボットの間の注意と選好性
9 ブレイン・マシン・インタフェース―QOLの回復を目指して
著者等紹介
苧阪直行[オサカナオユキ]
1946年生まれ。1976年京都大学大学院文学研究科博士課程修了、文学博士(京都大学)。京都大学大学院文学研究科教授、文学研究科長・文学部長、日本学術会議会員などを経て、京都大学名誉教授、社会脳研究プロジェクト代表、日本ワーキングメモリ学会会長、日本学術会議「脳と意識」分科会委員長、日本学士院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。